日本が「成長社会」から「成熟社会」へと変化している中で、人生を支配するルールもまた変わりつつある。「みんな一緒」だった世の中から、「それぞれ一人一人」の世の中へと、大きく変貌を遂げているのだ。
成長社会であった戦後日本では、みんなが同じライフプランを持っていた。良い高校・大学に入り、一流企業に就職し、郊外にマイホームを建て、庭に犬を飼い、定年後は盆栽を楽しむというものだ。そして、この流れに乗ってさえいれば幸せになれると、誰もが信じていた。そのような社会では、個人の人生戦略など必要なかった。
ところが現代社会には、「みんなが幸せになれる成功モデル」が存在しない。個人がそれぞれの価値観でそれぞれの幸せを追求する時代になっている。
成熟社会のキーワードは「多様化」「複雑化」「変化」だ。すべてのものが多様化して社会システムが複雑になり、変化が激しくなっているのである。成熟社会では、過去の成功パターンは通用しないため、人生を生き抜くための戦略を自ら練らなければならない。
成長社会では、「正解」を導き出す力、すなわち計算力や暗記力といった情報処理力が重視されてきた。もちろんこうした力の重要性は変わらないが、それだけでは成熟社会に対応できない。今求められているのは「納得解」を導き出す力であり、情報編集力である。
納得解とは、自分が納得でき、他人も納得させられる解のことだ。過去の成功パターンが通用しない社会では、万人に共通する唯一絶対の答えは存在しない。学校教育で植え付けられた「正解主義」の呪縛から逃れ、各々が試行錯誤しながら納得のできる解を求めるしかないのだ。
納得解を導き出す情報編集力を培うためには、まず前例を根本から疑ってみることだ。転職を繰り返す若者が増えたり、晩婚化が進んだりしているのも、「正解主義」の影響だろう。理想の職場やパートナーという「正解」を追い求めるのではなく、現状を自分の力で変えられないか、現状に学ぶべきところや良いところはないか考え、「納得解」を探すようにしたい。
これからの時代を生き抜くには、その人固有の武器が必要となる。といっても、武器選びに「正解」はない。最悪なのは、どの武器がいいかわからないからと何も行動しないことだ。「どこかに自分にぴったりの武器があるはず」などと考えずに、自分にとっての「納得解」を見つけなければならない。
社会人として働いているなら、何らかのスキルがあるはずだ。そのスキルにこれまでの10倍のエネルギーを注げば、人生はますます有意義なものになるだろう。
現代においては、誰でもインターネットを通じて情報発信できる。これを、技術を磨くための場として使わない手はない。
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