優秀な人がみんな、机にかじりついて勉強ばかりしているとは限らない。勉強の効率を上げたいなら、勉強を始める前や休憩時間などに、軽い運動や散歩をしてみよう。運動によって脳の血流がよくなり、脳が活性化すれば、集中力や記憶力が高まり、インスピレーションが豊かになり、インプットやアウトプットが最大化する。
イリノイ大学のサラスらは、被験者群を2つに分けて、名詞を記憶させるテストを実施した。片方のグループには、名詞を覚える前と後に10分間歩かせ、もう一方のグループは、同じ時間、座って風景写真を見せる。その結果をテストしたところ、歩いたグループのほうが25%よい成績を残したという。
脳の燃料は、酸素と糖分である。酸素は血液に乗って脳に運ばれるため、勉強する前に歩いて体の血液を巡らせれば、脳にどんどん血液が送られて勉強の効率がアップするのだ。さまざまな運動があるが、勉強する前に疲れきってしまってはいけないので、散歩から始めるといいだろう。
単語を覚えようとするとき、机に向かうよりも風呂につかったほうがはかどると実感している人もいるだろう。これには、脳波の一種である、シータ波が影響している。
カリフォルニア工科大学のルティスハウザーらの研究では、シータ波が出ているときに海馬などの脳の部位が最も活性化していることがわかった。また、東京大学の戸塚らは、海馬にシータ波が伝わると、ニューロンへの分化を促進すると報告している。神経幹細胞が脳を構成する神経細胞・ニューロンへ分化することを「ニューロン新生」という。ニューロンは、大人になってからも増やせる。
この2つの研究により、「勉強するほど頭がよくなる」のは、シータ波の働きに関係があることが証明された。シータ波は、勉強などの作業に集中しているときだけでなく、ソファに座っているときや入浴中などのリラックスしているときにも発生し、増える。だから、風呂に入っているときに暗記がはかどると感じられるのだ。入浴中だけでなく、お気に入りのソファに座るなどして、ゆったりとした気持ちで暗記するのもおすすめである。
「電子書籍で読むより、紙の本で読んだほうが記憶に残りやすい気がする」と感じたことはないだろうか。実際、スマホやパソコンの画面でテキストを読むよりも、紙で読むほうがインプットされやすいことがわかっている。
スタヴァンゲル大学のマンガンらは、紙と画面というデバイスの違いに着目した実験を行った。被験者に紙とモニター上のPDFとで、物語文と説明文の読解問題、単語理解問題、語彙力の問題を出題した。この結果、紙で読んだほうが内容に入り込みやすく、理解度も高く、覚えやすいという結果が出た。
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