企業文化は、生き物のように目的や価値観、情報処理の方法を持っている。それぞれの企業文化の特性をわからないままに事を行えば、手痛いしっぺ返しをくらってしまうこともある。
大きく分けると、企業文化は以下4つに分類される。
(1)孵化型:人間的、平等主義
(2)誘導ミサイル型:職務的、平等主義
(3) 家族型:人間的、階層主義
(4) エッフェル塔型:職務的、階層主義
(1)孵化型の典型はシリコンバレーである。この文化は非常に創造的であり、新しいアイデアを次々と孵化させていく。
(2)誘導ミサイル型の典型はNASAである。この文化においては、プロジェクト・グループがチームとして職務遂行に向かっている。企業は多くの専門分野を抱え、組織内の様々な部門から、設定された職務のために不可欠な人材だけを選び出す。
(3)家族型は、日本企業によく見られる形であり、特にオーナー企業に多い。オーナーとしての「親」と従業員としての「子供」の間のギャップが非常に大きいことに特徴がある。
(4)エッフェル塔文化は、テーラーやヘンリーフォードによって採用された。すべての労働者は正確に規定された職務を与えられ、それらは時間と動作研究によって調整、管理される。
企業文化が実際の仕事に大きな役割を果たすため、企業文化を把握することは極めて重要なことである。リーダーは彼らの企業文化をリードし、変化の推進者は企業文化を変化させなければならない。
4つの企業文化は相互に関連し、時には一体となったり、対立したりする。伝統的なビジネス文化はエッフェル塔文化だが、仕事が複雑化し、革新の必要が高まるにつれて、家族型文化、孵化型文化や誘導ミサイル型文化を取り入れることがより重要になってくる。
さまざまな国民の4つの文化に対する好みには違いが存在する。そして、人事ツールの有効性は、国家や地域ごとの企業文化に左右されることが多い。文化間でまったく同じ意味を持ち続けられる普遍的な尺度はない。
しかし、従業員のほとんどが理想とする企業文化は孵化型文化であり、彼らはより創造的かつ革新的でありたいと願っている。孵化型文化へ革新してゆくための機会を創造してこそ、人事部門は最良の従業員を確保することができるだろう。
有能な人材を採用、選考、評価、開発していくために、人的資源管理部門は多くの人材ツールを使う。しかし、有効なものとされてきた従来型のツールには、欠陥も見られる。
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