アフリカの本当の広大さを知ると、誰もが驚くだろう。メルカトル図法の世界地図では高緯度の地域が大きく見え、赤道に近いアフリカは相対的に小さく見える。そのため多くの日本人はアフリカの本当の広さを知らないが、比較してみるとよくわかる。アフリカ大陸の南北の距離は約8000km、東京からシアトルが約7687km。アフリカの東西は約7400kmで、東京からドバイまでが約7935kmだ。東京からシアトルやドバイまでの距離と同じくらいだと考えると、「とりあえずアフリカに拠点を1つ置こう」という発想が、いかに的外れかがわかるだろう。
アフリカ大陸の面積はインドの10倍で、日本の80倍にあたる。アフリカ大陸とは、その中に米国と中国とインドと欧州とメキシコと日本が全部入るほど、実に巨大な大陸なのだ。
アフリカの人々の年齢が圧倒的に若いことも、日本では知られていないファクトだ。2020年の日本の中位年齢は48.4歳であるのに対し、アフリカ全土の中位年齢は19.7歳である。アフリカの全人口は約13億人だが、最も人口が多いナイジェリアの中位年齢は18.1歳、ケニアは20.1歳と、若年人口が圧倒的に多い。その理由は、医療と衛生環境の整備によって乳幼児の死亡率が急激に低下し、人口を賄えるだけの食料が確保されたためだ。
少し前のアフリカでは自宅出産が普通だったため、出産時の妊婦と新生児の死亡率が高かった。女性1人が平均6~7人出産しても、大人になるのは2~3人で、これは明治の日本と同程度の水準だった。それが改善され、人口が爆発的に増加し、いまや人口抑制政策を取る国も多い。
2050年にはアフリカの人口が約25億人(世界の4人に1人)になると予想される。都市化が進むと増加の勢いは落ちるが、日本をはるかに上回る人口と若さは、国家運営の舵取りを間違えなければ大きなパワーを秘めている。
アフリカの農村の人口爆発は人の動きを変えた。農地の広さは変わらないが子供は増えるため、第二子や第三子は都市部に出ていく。しかし都市部にも仕事がない。ケニアでも大学に行けるのは1割程度だが、卒業後3年以内に就職できるのは約半数であり、圧倒的に仕事不足なのだ。しかも多くはブルーカラーで、何らかのスキルを持つスキルドワーカーは少ない。
都市化率に目を向けると、南アフリカが最も進んでおり、67%が都市部に住む。またアフリカ最大の2億人の人口とGDPを誇るナイジェリアは都市化率52%である。都市化率28%のケニアのほか、タンザニアやウガンダなどの東アフリカの国も注目エリアだ。都市化率43%のエジプト、64%のモロッコも、早くから産業が立ち上がっている国だ。南アフリカ、ナイジェリア、ケニア、エジプトの4国は、アフリカの主要国として覚えておきたい。
アフリカでは電設工事が進んでいるが、半分程度の人は電気がない家に住んでいる。日本の約100年前と事情が似ている。しかし当時の日本とは全く違う面もある。
それはアフリカのほぼ全ての成人がスマホやケータイを持っているという点だ。
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