起業は意志が10割

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起業は意志が10割
著者
出版社
出版日
2021年05月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

52=17+21+14。

「?」と思った読者のみなさんは、著者の術中にはまっている。

企業内起業は17、独立起業は21、週末起業は14、そしてそれらを足した52は著者の年齢だ。端的に起業のプロという著者のキャラクターを表しつつ、記憶にインプットされる数字だ。

これからはこのような忘れられない自己表現も必須の時代だという内容については、本文に譲りたい。

新規事業を30年間途切れることなく取り組んできた著者によると、コロナ禍で既成の価値観が覆る今こそ、新規事業が求められるという。突如広まった新たな生活様式の中で、不便を感じたり、悩みを抱えていたりする人は多い。CHANGE IS CHANCEだ。新たなニーズを持った顧客がたくさん生まれた昨今は、裏を返せば、新たな事業が求められ、始めやすい時期でもある。

とはいえ、足がすくんでしまうこともあるだろう。

今、我々はどう振る舞うべきか。変化におののき嵐が去るのを待つか、それとも今までの知見をもとに新たな世界へ踏み出すのか。

大企業で新規事業を担当している方はもちろん、個人で起業を考えている方にも「事業を興すとはなんぞや」を学ぶことができる1冊だ。新規事業創出にまつわるモヤモヤが晴れ、まず何をすべきなのかという第一歩が明確になるだろう。

やりたいことがあるならどんな小さな一歩でもいい。そんな時に背中を押してくれる一冊であることは間違いない。

ライター画像
大島季子

著者

守屋実(もりや みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミに入社後、新市場開発室で、新規事業の開発に従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトを、ミスミ創業オーナーの田口氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任後、博報堂、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(UZABASEグループ)、JCC、テックフィード、キャディ、フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業などの取締役、フェロー、理事など、 リクルートホールディングス、JR東日本スタートアップなどのアドバイザー、内閣府の有識者委員を歴任。2018年4月にブティックスを、5月にラクスルを、2か月連続で上場に導く。著者に『新しい一歩を踏み出そう!(ダイヤモンド社)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ウィズ・コロナで、商機と勝機が生まれた。これまでにない「不」が生まれたからだ。その「不」を解消する気づきを素早く行動に移すことができれば勝者となれる。
  • 要点
    2
    連続起業をしてきた経験を踏まえ、起業に必要なポイントにいくつも気づいた。その中でも特に重要なことは9つ。原点となるのが「起業は意志が10割」ということだ。
  • 要点
    3
    失敗しよう。そこから学び、型を作り、次の挑戦に生かそう。その先に必ず成功があり、失敗を生かすからこそ「プロ」となれる。

要約

ウィズ・コロナの変化にどう立ち向かうか

商機と勝機を逃すな!

コロナ禍で社会の不透明さが続くなか、起業はリスクではないか、そう思う読者もいるだろう。しかし著者は「不」が生まれたからこそ、必ずそこに商機と勝機が発生するという。つまり、今こそ新規事業を創出する好機なのだ。

窮地の産業があることは事実だが、その市場自体がゼロになるわけではない。例えば、外食をしていた人が自宅の食事に移行し、そこに「不」が生まれた。だからこそたくさんの「おうちごはんビジネス」が生まれた。外食産業の新たな進化といえるだろう。

市場が「瞬間蒸発」した飲食、旅行、イベントなどに人々の欲求がゼロになったわけではなく、むしろその欲求を抑えられている今、それらを解消する術を探している。代替できるサービスを提供できれば、新規事業として大きなパワーを発揮するだろう。

ここで気をつけるべきは、新規事業は「減った自社の売上を穴埋めする」ためのものではないということだ。つまり、新規事業の主語が自社になっている場合だ。本来、事業というのはお客様の「不」を解決するためにある。お客様に自社の売上減の穴を埋めてもらうのではなく、喜んでもらうことを最優先にしなければ事業の目指す道がそれていってしまうだろう。

新規事業に必須のポイント9つ
andresr/gettyimages

著者は30年間新規事業を続けてきた中で、起業をするにあたり大切なことは無数にあるという。その中でも特に大事なポイントとして9つを挙げている。いくつか紹介しよう。

最初は、「起業は意志が10割」ということ。この本の題名にもなるほど、すべての原点になる考えだ。意志を持たない人が事業を始めてはいけない。これに挑戦したい、絶対に成し遂げたいという、ほとばしるほどのエネルギーこそがその事業の成否を決めることになる。

次に「顧客から考える」こと。

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要約公開日 2021.08.30
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