コロナ禍で社会の不透明さが続くなか、起業はリスクではないか、そう思う読者もいるだろう。しかし著者は「不」が生まれたからこそ、必ずそこに商機と勝機が発生するという。つまり、今こそ新規事業を創出する好機なのだ。
窮地の産業があることは事実だが、その市場自体がゼロになるわけではない。例えば、外食をしていた人が自宅の食事に移行し、そこに「不」が生まれた。だからこそたくさんの「おうちごはんビジネス」が生まれた。外食産業の新たな進化といえるだろう。
市場が「瞬間蒸発」した飲食、旅行、イベントなどに人々の欲求がゼロになったわけではなく、むしろその欲求を抑えられている今、それらを解消する術を探している。代替できるサービスを提供できれば、新規事業として大きなパワーを発揮するだろう。
ここで気をつけるべきは、新規事業は「減った自社の売上を穴埋めする」ためのものではないということだ。つまり、新規事業の主語が自社になっている場合だ。本来、事業というのはお客様の「不」を解決するためにある。お客様に自社の売上減の穴を埋めてもらうのではなく、喜んでもらうことを最優先にしなければ事業の目指す道がそれていってしまうだろう。
著者は30年間新規事業を続けてきた中で、起業をするにあたり大切なことは無数にあるという。その中でも特に大事なポイントとして9つを挙げている。いくつか紹介しよう。
最初は、「起業は意志が10割」ということ。この本の題名にもなるほど、すべての原点になる考えだ。意志を持たない人が事業を始めてはいけない。これに挑戦したい、絶対に成し遂げたいという、ほとばしるほどのエネルギーこそがその事業の成否を決めることになる。
次に「顧客から考える」こと。
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