ビッグデータとは、文字通り莫大な量のデータのことである。代表的な特徴は次の3つだ。データの量が大きいこと(Volume)。データが計測され、記録されるスピードが速いこと(Velocity)。データの種類がさまざまであること(Variety)。これらの英語の頭文字をとってよく3Vといわれる。
ビッグデータの本格的な利用は、インターネット上に公開されたさまざまなサイトを上手にランキングする技術、「検索エンジン」によって始まった。いくつかのキーワードを入力するだけでほしい情報に効率よくたどり着ける検索エンジンは、もはや私たちの生活に欠かせない存在だ。
検索エンジンや、サイトの表示を担うソフトウェアであるブラウザを自社製にできれば、人々が注目する情報を自社でコントロールできる。また、ある目的や嗜好性を持つ人々が集まる場づくりができれば、効果的な広告の実現が可能となる。隆盛を誇るIT企業のほとんどは、製品やサービスを提供する側と、それらを求める消費者やユーザーが出会う機会を実現することで、大きな富を得ている。
アマゾンや楽天などのeコマース(EC)と呼ばれる業態では、ウェブ上での個人向け商品の提示、いわゆるレコメンデーションを最適化するために、消費者の購買履歴だけでなく、購買前や購買しなかった場合の操作履歴にいたるまで、膨大な量の情報収集を行っている。
こうしたビッグデータから個人に適した情報サービスを提供する技術を、パーソナライゼーションと呼ぶ。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上に示されるピンポイントの広告もまた、パーソナライゼーション技術が利用されている。
ビッグデータの積極的活用は、意思決定の結果が多様で不確実な個人をターゲットにしたビジネスを可能にした。まずビッグデータを集め、それに基づいて意思決定を行う方式は、「データ駆動型」と呼ばれている。
現代では、ECに限らず、ありとあらゆるビジネスの進め方がデータ駆動型にシフトしている。社会の営みにかかわる情報がビッグデータとして蓄えられ、それらを本格的に活用する産業界にも大きな変化が訪れている。これは第4次産業革命と呼ばれる。
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