コロナ禍において、オンライン会議やセミナーが急速に広まった。ウェブ会議システムやビジネスチャットツールが普及し、国内外で仕事のオンライン化が加速している。
そうした中、次のステップとして注目されているのがオフィスワークのVR化だ。VRヘッドセットを使ってオフィスを仮想空間上で再現し、よりリアルなコミュニケーションを実現する。
「Meetin VR」は、仮想空間内で同僚と共同作業を行えるプラットフォームだ。仮想のオフィスに“出社”し、自身を模したデジタルアバターを通じて打ち合わせやプレゼンテーションをする。3Dペンで空間に文字を書いたり、付箋を貼ったりする動作も可能だ。
オンライン会議でよりリアルなコミュニケーションをとれるようになれば、コロナ収束後もオンライン重視の傾向は続くだろう。エンターテインメント分野で先行していたVRだが、VRヘッドセットの低価格化も追い風となり、ビジネス分野で重宝される日は近いはずだ。日常的にはVRで仕事をこなし、「ここぞ」というときだけ対面で会合するなど、コミュニケーションの使い分けが進んでいくだろう。
外出禁止令でジムに行けなくなった米国では、スマートミラーを使った自宅エクササイズサービスが注目された。スマートミラーとは、映像やデータが表示される、通信機能付きの鏡である。
米国の「Mirror」は、鏡に自分の姿を映し、鏡内の映像に登場するインストラクターの動きに合わせてワークアウトができるサービスを提供している。手首に装着したスマートウォッチとリンクさせて、心拍数を確認することも可能だ。「フィットネス界のNetflix」の異名をとる自宅トレーニングバイク「Peloton」も、健康志向の高い米国人の間でブームを起こしている。
日本でも自宅で過ごすことが当たり前となり、自宅にいるユーザーに対してよりリッチなワークアウト体験を提供できるサービスが求められるだろう。既に国内ITベンチャー「ジーエルシー」が「Smart Mirror 2045 for Fitness」の販売を開始するなど、普及の兆しが出てきている。
外出できなくても友人と買い物を楽しみたい――。米国の「Squadded Shopping Party」は、そんな願いを叶えてくれるサービスだ。
ターゲットは15〜25歳のZ世代。複数のECサイトでグループショッピング体験を楽しめる。既にNetflix PartyやInstagramのCo-Watching機能など、友人同士で楽しめるオンラインサービスが登場しているが、それがECに波及した形だ。
友人からの率直なアドバイスは、服選びに役立つ。だが従来のECサイトには、その機能はなかった。同サービスでは、チャット機能を使って友人とあれこれ感想を言いながら買い物ができると、Z世代に大いに受けている。
あらゆる商品がネットで購入できるようになった今、次に考えるべきは「リアルに近い購買体験を提供すること」だ。日本の若い世代は、コロナ禍でも消費金額がさほど落ちておらず、特にアパレルへの興味や消費は上の世代に比べて大きい。今後は、オンラインでの利便性や感染リスクを回避する安全性を担保しつつ、エンターテインメントとしての買い物を楽しんだり近しい人たちと体験価値をシェアできたりする、“ハイブリッドなショッピング”が主流になっていくだろう。
オランダでは、ミシュラン星付きレストランのコース料理が自宅で簡単に“完全再現”できる食材キットのデリバリーサービス「Cook Like a Chef」が話題となった。「Cook Like a Chef」では、フォアグラやトリュフ、キャビア、ロブスターなどの高級食材と、調理の手順を簡単に指示したカードを同梱する。パーティーコースやビーガンコース、クリスマスコースなど、レシピの種類も豊富だ。ウェブサイトで公開されている調理動画を参考にしながら家族で料理をつくり、自宅にいながら贅沢なコース料理を楽しめる。
特筆すべきは、料理ではなく食材キットを届けている点だ。
3,400冊以上の要約が楽しめる