「人生100年時代」という言葉は日本でもなじみ、2017年には首相官邸に「人生100年時代構想会議」が設置された。さらには2019年に「老後2000万円問題」が大きな話題となる。老後には公的年金に加え、一人当たり平均2000万円が必要だと警鐘を鳴らした。金融庁から出されたこの報告書では、現役世代の「長期・積立・分散投資」による資産形成の検討を行うことが重要であるとも記されている。
一方で、世論調査によると、平均貯蓄額は2人以上世帯で1430万円、単身世帯で744万円。もっとも多い「60代の2人以上世帯」で1849万円、「60代独身世帯」で1613万円といずれも2000万円には及んでいない。この貯蓄額は年齢層が下がるとさらに減少する。
こうした時代では、自主的に老後に備えなくてはならない。そこで欠かせないのが投資を味方につけることだ。著者がすすめるのは、簡単・安全・確実に資産を増やすことができる投資方法、「3000円投資」である。
方法は実にシンプルだ。証券口座を開き、毎月3000円ずつコツコツと積立購入する。買うのは、大損するリスクは低いが長期では利回りが比較的高い投資信託だ。手数料などのコストも安い。
3000円は貯金をしながら投資に回せる最適な額といえる。大事なのは貯金をしながら可能な範囲で投資をスタートさせることだ。実際に3000円投資を始めた方からは、次のような声が寄せられている。「貯金と並行して投資を始めてから、節約するのが楽しくなった」「ついつい無駄遣いしそうなときに、『このお金を投資にまわそう』と思うと我慢ができる」などだ。また、今まで興味がなかった経済や社会の動きに関心が増したという人もいる。このように、投資を通して金銭的にも精神的にも人生がより豊かになり、世界が広がる人が増えている。
実は、3000円投資生活は面倒臭がりで忙しい人ほど向いている。なぜなら、一度買っておけばあとはほったらかしでよいからだ。こまめにチェックしたり結果に一喜一憂したりすると、時間を浪費し、気持ちも疲弊する。3000円投資はローリスク・ローリターンで長期間運用する方法であるため、気長にリターンを待つのがよい。では具体的な始め方を紹介する。
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