「一番よい会社の条件」
ドラッカーは企業経営の本質として「企業の目的として有効な定義は一つ、顧客の創造である」と表現した。お客様がいないとビジネスは成り立たない。
近頃、会社は誰のものかと論じられるが、「会社はお客様のもの」だ。表面的なことにとらわれず、お客様に奉仕する集団が会社であり、いかにうまく経営し収益を上げるか、競い合っている。ドラッカーはそういう会社の本質を見抜いていた。
一番よい会社とは、末端の社員も自分がトップの経営者だと思っている会社である。自分もトップの経営者だと思っていまの仕事を見直すと、すごくよくなる。
会社を構成するそれぞれの人が、自分の立ち位置にとらわれすぎると、ごく限られた範囲内でしか物事が見えず、失敗する。結局、サラリーマン意識では通用しない。
自分は会社という場所に「自営業」をしに来ているといった気概が要る。自分は給料を貰っている立場ではなく、自分が会社を食わせている。このような意識を持たねばならない。
「公私混同が組織を強くする」
チームワークを高めるため、選手たちに向かって「自分のためにやれ」と逆説的によく話している。それが結局一番チームのためになる。
一方で「公私混同は大いにしなさい」とも言っている。一般的な意味での公私混同ではなく、公のことを自分ごとのように真剣に考えなさいという意味である。個人がチームを自分のことのように考えられなければ、チームはよくならない。いいチームというのは、一軍から控えの層まで、非常に意識が高い。「自分はチームのために何ができるか」ということを常に考えている。
その原点になるのが「自発性」だと考えている。しかし、この自発性は命令では高めることができず、自らの中から持ち上がってくる力だ。この自発性をうまく引き出すことが、チームの指導者には求められる。
「気を満ち溢れさせる四条件」
私(唐池氏)はかつて8億円の赤字を抱えていた外食事業部を、3年で黒字化に導いた。繫盛する店としない店を分ける要素は、その店に気が満ちているかどうかだ。気を満ち溢れさせるには四つの条件がある。
一つ目は「スピードあるキビキビとした動き」。迅速に動くと気が集まる。
二つ目は「明るく大きな声」。打ち合わせや電話でも明るく大きな声で話そう。
三つ目は「隙を見せない緊張感」。これはお客様がいつ来てもいいような態勢を整え、周到に準備するということだ。
四つ目は「貪欲さ」。もう一品注文してもらおう、もっと自分を成長させようといった追求心、向上心である。
7年間外食事業に携わった後、鉄道事業でも同様のやり方で改革に当たり、確信したことがある。これら四つの条件に基づく気を満ち溢れさせる方法は、会社の規模や業種を問わず、あらゆる組織に通用するだろう。
「ヒット商品を生み出す秘訣」
ヒット商品を生み出すには、商品の本質を見抜くことが肝要だ。いろいろな角度から物事を観察し、立体的に理解する。
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