「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式は、平均的な人間が、偉大なことをなす方法はないかという問いに対し、著者が経験に基づいて導き出した答えだ。
能力と熱意は0から100点まである。自らの能力にかまけて努力を怠った人より、能力が乏しくとも誰より情熱を燃やして努力した人のほうが、結果を残せるものだ。
そして、能力と熱意に考え方を掛け合わせる。考え方は人間としての生きる姿勢であり、マイナス100からプラス100まである。世を恨み、厭世的な生き方をすればマイナスであり、能力が高くとも、結果はマイナスとなる。素晴らしい考え方や哲学を持つか持たないかによって、人生は大きく変わる。
福沢諭吉が説いた経営者のあるべき姿も、この方程式に当てはまる。すなわち、哲学者が持つような優れた思想と、元禄武士のような素晴らしい心根を併せ持ち、さらに商いなどの才能と頑健さを備えていなければ、立派な経営者にはなれない。
会社は城の石垣のようなものだ。石垣には大小さまざまな石がある。同様に大きな売上の事業もあれば、小さな事業もある。大きな石だけでは風雪に耐えられない。小さい石が詰まっているからこそ、石垣ががっちり組まれる。
同様に、大小さまざまな事業を組み上げる。それが経営だ。
企業が伸びていくのは、トップの人間としての器量が伸びていくことだ。また、従業員も成長していかなければ、企業規模は拡大していかない。
マーケットに限界がある以上、会社を成長させるために、新規事業を起こす必要がある。経営の多角化は中小企業が中堅企業へと脱皮する登竜門だ。まず得意技を持ち、徹底的に磨くことが成功の秘訣である。
事業の目的は、人間としても最も崇高な願望に基づくものでなければならない。自由な経済社会は金儲けのために何をしてもいいということとでは決してない。
大企業は経済社会の健全な発展のため、厳しい自己管理のルールを確立し、自ら律すべきだ。経営者は、企業や企業群が巨大化していけば、必ず社会に破壊的な影響を及ぼす可能性を認識しなくてはならない。
われわれが行っていること、思っていることが何年先か何十年先か、やがて必ず「結果」をつくっていく。それを心にとめ、日々善きことを行いたい。
リーダーシップを発揮するには「自分はいつも公明正大だ」と言えるだけの迫力が求められる。公明正大さが経営者に難局に立ち向かう勇気と自信を与える。人の上に立つ者は、才覚よりも人格が問われる。
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