会って、話すこと。

自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術
未読
会って、話すこと。
会って、話すこと。
自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術
未読
会って、話すこと。
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2021年09月14日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

日常のちょっとした会話をつつがなくこなしたい。これは、小さな願いのようでいて、多くの人を悩ませている難題でもある。「雑談」をしようとすると会話が続かずに気まずい思いをしたり、会話術のテクニックを実践しようとしてうまくいかなかった経験がある方もいるかもしれない。

本書は、そんなふうに会話に苦しんでいる人たちの悩みを断ち切るがごとく、「自分のことも相手のことも話さない会話術」について解説した一冊である。会話をしようとすると、話題は「自分のこと」か「相手のこと」になりがちだ。むしろそれを話すことが会話の目的なのではないかという印象すらある。しかし、考えてみると、知り合いから赤裸々な身の上話を聞かされても、楽しいどころか、困ってしまうことの方が多い。現在抱えている切迫した悩みを聞かされれば、返答にも気を使い、疲れ果ててしまう。自分や相手のことについて話すのだという前提を捨ててしまえば、ずいぶん楽になれるのかもしれない。

著者による「なにを話すか」「どう話すか」「だれと話すか」の考え方は新鮮だ。相手のことも自分のことも話さずに、外部のことを話す。ボケにボケを重ね、ツッコミはしない。そして、自分と相手の「間に発生」したことを楽しむ。これまでに身につけようとしていた会話術とは一味違ったアプローチで、純粋に会話をともに楽しむ心構えに触れることができる。会話に悩む方に、ぜひ一度読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
木下隆志

著者

田中泰延(たなか ひろのぶ)
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。学生時代から6000冊以上の本を乱読。
1993年株式会社 電通入社。24年間コピーライター・CMプランナーとして活動。
2016年退職、「青年失業家」と称し、インターネット上で執筆活動を開始。
Webサイト『街角のクリエイティブ』に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」が累計500万PV超の人気コラムになる。その他、奈良県、滋賀県、広島県、栃木県などの地方自治体と提携したPRコラム、写真メディア『SEIN』などで連載記事を執筆。映画・文学・哲学・音楽・写真など硬軟幅広いテーマの文章で読者の支持を得る。
2019年、ダイヤモンド社より初の著書『読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術』を刊行。
2020年、出版社・ひろのぶと株式会社を創業。
Twitter : @hironobutnk

本書の要点

  • 要点
    1
    会話において意識することは「わたしの話を聞いてもらわなければならない」「あなたの話を聞かなければならない」という考えを捨てることだ。
  • 要点
    2
    相手のことでも自分のことでもなく、「外部のこと」を話そう。
  • 要点
    3
    漫才や落語と違って、日常の会話では「ツッコミ」も「オチ」も不要だ。ボケにボケを積み重ねていき、「今、なんの話をしてたんだっけ?」状態になるのが理想だ。
  • 要点
    4
    人に機嫌よく接することは一番重要なことだ。最も身近な社会貢献とは、よい言葉とよい笑顔である。

要約

【必読ポイント!】 なにを話すべきか

人は他人に興味がない

辞書的な会話の定義とは、「向かい合って話し合うこと」だ。だとすれば、会話の本それ自体も、ダイアローグでつくられるべきだ。この本には、文章術をテーマにした著者の前著『読みたいことを、書けばいい。』の編集者であり、著者と対話を重ねてきた今野良介氏が対話相手として登場する。

今野氏のすすめで「会話」をテーマに本を書こうとしたとき、本屋の会話術のコーナーをのぞいてみた。すると、多くの会話術の本が、相手の話を「聞くこと」が大切であると解説していることがわかった。つまり、他人の話を聞くことはここまで注意されなければできないということになる。結局、人間は他人の話を聞きたくないのではないか。

だとすれば、著者の発想は逆になる。会話において意識すべきことは「わたしの話を聞いてもらわなければならない」「あなたの話を聞かなければならない」という考えを捨てることだ。これこそが、著者が会話においてずっと意識してきたことだ。文章を書くときの最初にして最後の心構えである「正直であること」は、会話においても重要なのではないかという考えに至った。

わたしのことではなく、あなたのことでもなく、「外部のこと」を話そう
show999/gettyimages

ほとんどの人は、会うなり自分の事情を話し始める。しかし、他人の個人的な事情は、すぐには聞きたくない。むしろ、ずっとあとでも聞きたくないことがほとんどだ。会話が上手な人は、「この人、自分の事情はないのだろうか?」と思うような話題で会話をスタートさせている。

会話は「相手を知り、自分を知ってもらうためにするもの」という考え自体が、人を苦しめる原因だ。「相手のことも、自分のことも、話さない」のが重要だ。会話とは、相手にとっても、自身にとっても、「外にあること」を話すためにあるのである。

ある意味、「どうでもいいことを話す」のが、会話する理由だ。たとえば、窓があったら外に目をやってみる。夏空に大きな雲が出ているのを見つけ、二人で同じものを見ながら「今日の雲は大きいですね」と確認し合えば、これ以上の「共感」はない。

「おもしろい会話」のベースは「知識」にある

しかし、ただ見たことを描写しているだけでは話は続かない。せっかく初対面の人にいきなり自分の事情を押し付けるのを踏みとどまって空を見上げたのに、会話が続かないからといって身の上話を始めてしまっては意味がない。

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要約公開日 2021.10.31
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