「今のままの働き方でこれからも通用するか」「思ったように結果がでない」「職場で居場所を見つけられない」。こうした悩みを抱えている社会人は少なくない。そんな悩みを抱える人に対し、成功者やビジネス書が訴えるのは「強みを活かすこと」の大切さだ。
しかし自分の強み探しは難しい。診断ツールなどを使って納得できる強みが見つかったとしても、その活用方法がわからない。その結果、強みを活かして現状を変えることが目的なのに、強みを知ること自体が目的になってしまうのだ。
また、自分のことをよく知る友人や知人に自分の強みを尋ねても、気を使って本当のことを言わない可能性もある。
強みを探そうとするほど見つからないのは、自分目線で考えているからだ。自分の強みが相手の役に立つとは限らない。特に仕事の場合は、自分のことを評価するのは他人である。求められるのは、「相手目線」だ。成果を出している人は、相手から求められる価値を的確に提供している。一般的な自己分析や強み診断には、この相手目線が含まれていないのだ。
強みは「専門性」とも言える。本書では、絶対的な専門性で勝負できる人を「カリスマ型」と呼ぶが、このタイプは少ないのが現実だ。世の中の大多数の人は、「サポーター型」であり、際立った好きなことや得意なことがあるわけではない。
サポーター型は仕事もそれなりにできるが、一点モノの専門性を武器に戦っていくのは厳しい。しかし、サポーター型には状況に合わせてフィットしていく方法がある。そこで必要なのは、強みに対する考え方の大転換だ。
強みは絶対的なものではなく相対的なものである。自分が得意としているスキルの価値は、相手や環境しだいで変わっていくのだ。たとえば、今の職場でプレゼンのスキルが高いと評価され、プレゼンが自分の強みだと思っていたとしよう。だが転職先でプレゼンの達人がたくさんいたら、その価値は一気に低下してしまう。
一方でその逆もある。著者は新卒で就職した会社ではエンジニアとして戦力外の扱いを受けていた。しかし、退職して外の世界に出ると、パソコンのセットアップをするだけで、感謝されてお金をもらえるようになった。大事なのは、その場で相手から必要とされる価値を提供することだ。
成果の決定権を持っているのは他人である。サポーター型の人は、常に空気を読み、他人の考えを想像するのが得意だ。そのため、相手の困りごとを察して、それに対して「応援する」というポジションに立つことにより、選ばれやすくなる。
大切なのは本当の強みを発揮することである。それにより、自分の能力が変わらなくても、相手から評価されるようになるのだ。
相手のことを理解し、相手が求めていることを提供していくという原理は、仕事で成果を上げるための基本である。しかし、それだけでは不十分だ。
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