新規営業で成果を上げるには、営業力を磨くよりもターゲットリストのメンテナンスが先決である。営業力を身につければ「買わない」お客様を「買いたい」と言わせることができるかもしれないが、それでも買ってくれないお客様のほうが多いからだ。それなら、ニーズがあるか、買う可能性があるお客様を探すほうがずっと効率がいい。
ターゲットリストづくりにおいては、4つの要素に目を向けよう。まずは「精度」、つまり「買ってもらえる可能性が高いリストになっているか」だ。企業属性よりも「購買動機=顧客のニーズ」を起点にしたリストにする。あなたが人材紹介サービスの営業なら、就活・転職クチコミサイトを見て、会社評価スコアで「待遇面」や「社風」の項目が高スコアの企業を選べばよい。そうすれば、採用を強化していて、従業員満足度の向上に力を入れている企業が見つかる。
次に「鮮度」、「購買可能性が高いタイミングで営業できるリストになっているか」だ。「同じようなサービスの契約を更新したばかりだから」と断られたなら、「次の更新はいつですか?」「いつごろから検討を始めますか?」と聞いておけば、購買可能性の高いタイミングを把握できる。
3つ目は「具体性」だ。担当者名と会社の代表番号だけでなく、部署や決裁権者、キーパーソンなどを知り、ターゲット像を明確にする。アウトバウンドの新規営業の場合は、何度も接触することになる可能性が高いため、早い段階でリストに情報を書き込もう。電話をかけるたびに相手先企業のウェブサイトをチェックするのは、時間のムダである。
最後は、リストの「絶対数」だ。目標から逆算して、十分な数のリストを用意しておく。
営業電話をかけた際に「〇〇は不在にしています」と言われたら、半分くらいはウソや拒否だ。受付ブロックを回避するには、受付の方に「この電話は重要だ」と理解してもらう必要がある。
具体的には、「以前話したことがある」などと接点の情報を“チラ見せ”する手法や、自社クライアントである大企業の名前を出したり、役職者であることを名乗ったりして権威性を持たせる手法、「〇日まで無料でテスト利用」「限定モニターにご招待」とプレミアム感(特別感)を演出する手法が効果的だ。受付の人に「勝手に断らないほうがよさそうだ」と感じてもらえるかどうかが分かれ目になる。
キーパーソンに取り次いでもらえたら、次の3点を意識してトークしよう。
1つ目は、1分間に450文字のペースで話すこと。聞き取りやすいペースは1分間に300文字だと言われるが、電話を切ろうとしている相手には、もっとスピーディーに話したほうがよい。
次に、余計な前置きを省いて「相手にとってのメリット」と「なぜ、今伝えたいか」を結論から端的に伝え、ガチャ切りさせないことだ。相手が電話を切ろうとする前に「本当に切っていいのかな?」という「0.5秒の余白」を作ることがポイントとなる。
最後は、「0.5秒の余白」の後にすぐ、耳より情報を伝えることだ。「私に会って提案させろ」では、相手にとってのメリットがない。事前に調べた改善ポイントなどをすかさず伝えて、「ここまで調べてくれたのか」と思わせよう。
買わない理由をつぶし、商品を買った未来の可能性を見える化してお客様から合意や共感を得ていく――。営業の成果をコントロールするこの一連のプロセスは「アカウントプラン」「アプローチ」「ファクトファインディング」「オーダーコントロール」「企画作成」「プレゼンテーション」「クロージング」から成る。
最初の「アカウントプラン」は、攻略計画の策定のことだ。「どうしたら受注できるか」という仮説を立て、全体の流れを組み立てる。
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