現代社会は、すべての人間が知的生産活動をたえず行う必要のある社会になりつつある。知的生産とは、考えることにより新しい情報をつくりだすことだ。
著者は学生の頃から手帳をつけていた。そして、必要事項やスケジュールではなく、「発見」をかくための手帳を持つことをすすめている。手帳には短い単語やフレーズではなく、ちゃんとした文章でかくのがよい。頭の中でものごとを組み立てる際には直観的な洞察ができるが、この「発見の手帳」にはすべてを文章にして残す。考えの素材となる事実や命題をしっかりと記録し、知的な蓄積をはかるのだ。新鮮な発見を残すためにも、できるだけその場でかくようにしたい。
また、かきかたも工夫するとよい。一ページ一項目とし、ページの上欄に標題をつけてみよう。短くても内容が変われば、次のページに進む。長くなる場合は、二ページ目の標題によってそれが続きであることがわかるようにしておく。
さらに、一冊が終わった時点で索引をつくっておくと、知識を整理でき、知識同士の関連を見つけやすくなる。これを繰り返すことで自身の思想がおのずと姿を現してくるのだ。
罫線のあるノートにびっしりとかく人もいるが、かいた内容をあとから利用するのは簡単ではない。ノートの欠点は、ページが固定されていて、かいた内容の順序が変更できない点だ。この欠点を解消したルーズ・リーフ式のノートもあるが、ちぎれたりバインダーがかさばったりする点が気になってしまう。
そういった場合はカードを使うのがよい。カードというと小さいものを思い浮かべるかもしれないが、B6版のような大きいもので、ある程度の厚みのある紙のカードが望ましい。これを常に持ち歩いて使うのだ。「発見の手帳」も当初は手帳だったため「手帳」と呼んでいるが、このカードにかいていけばよい。
カードはかいた内容を覚えるために使うと思われがちだが、むしろ忘れるためにつけるものだ。そのため、他人やすべてをきれいさっぱり忘れてしまった自分があとから読んでもわかるように、しっかりと完全な文章でかくべきだ。その意味では、カードは小さな論文といってしかるべきものである。
カードを活用する際には、ひとつのページに複数の項目をかかないようにしたい。一行でサマリーのような標題をつけ、日付を記録しておく。
カードができたらカード・ボックスに入れる。このときカードの分類についてはあまり気にしなくてもよい。
3,400冊以上の要約が楽しめる