「どうも思っていたイメージと違うんだよな」「部長の意向が変わって、データは月別じゃなくて、日別に出してほしいんだ」「こんなに細かいデータじゃなくて、○○さんが提出してくれた報告書みたいにまとめてほしいんだよね」……こうした手戻りは、残業の原因の一つだ。手戻りは業務効率だけでなく、働く人のモチベーションも下げてしまう。
手戻りが発生する原因は、大きく4つに分けられる。
(1)いきなり100点をとろうとする:「期限ギリギリに資料を提出して、上司からダメ出しを喰らった」といったパターン
(2)状況の変化に対応できていない:「参加者が増えたので、大きめの会議室を手配し直す必要がある」などといった変化を察知したり、共有したりすることができていないパターン
(3)仕事のやり方や品質がバラバラ:タイミングや担当者によって、成果物の内容や品質が異なるパターン
(4)レスや判断が遅い:打ち合わせ日程調整依頼のメールを放置した結果、相手の予定が埋まっており、再調整が必要になるといったパターン
仕事の手戻りをなくす方法は、大きく分けて2つある。「ポンチ絵」を描くことと、報連相のタイミングを設計・合意することだ。
ポンチ絵とは、製造業でよく使われる言葉で、ささっと手描きしたラフ絵のことだ。ポンチ絵を書けば、相手と成果物のイメージを合わせることができる。たとえば「上司から資料作成を依頼された際、すぐにパワーポイントの完成イメージを手書きして上司に示しておく」「大きな会議の会場設営を頼まれたので、会場のレイアウトをポンチ絵にする」などといった具合だ。前任者が作った資料などを使うのもいいだろう。
「期限ギリギリに資料を提出して、上司からダメ出しされる」は、手戻りの定番パターンである。報連相を行わずに、期限ギリギリでいきなり提出してしまうと、手戻りの幅が大きくなり、残業が増えてしまいかねない。
これを防ぐには、ポンチ絵を使って成果物のイメージを確認しておくことに加え、「いつ、どのタイミングで、何を報連相するか」といった報連相のタイミングを合意しておくのが有効だ。
逆転さよならホームランを狙ってはいけない。相手と少しずつすり合わせをしながら、徐々に100点に近づけていけばよい。
上司の指示や部下の確認が十分でないまま突っ走り、意識ズレが発覚すると、手戻りが発生しがちだ。こういった意識ズレをなくすためには、仕事を依頼するとき・されるときに「仕事の5つの要素:目的・インプット・成果物・関係者・効率」を確認しておくことが大切である。5つの要素の確認について、順に解説する。
1つ目は「仕事の目的を確認する」。その仕事は何のために、だれのために行うのかを確かめよう。直接的に聞きづらいときは、「目的を自分なりに想定して確認する」と「その仕事の成果物の利用シーンを確認する」のが有効だ。
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