「空気」で人を動かす

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「空気」で人を動かす
出版社
フォレスト出版
出版日
2014年06月04日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

個人に注目してマネジメントする方法を紹介しているリーダーシップ本は多くあるが、本書は、人が構成する「場の空気」に注目してコントロールすることで、チームを変える方法を紹介している。流行の「コーチング」や「ほめること」によって一人一人を立て直すのではなく、チームの大多数を占める「可燃人(火をつけられると燃えることのできる人)」を奮い立たせることでチームの「空気」を変えることができると著者は述べる。場の空気や雰囲気に影響を受けやすい私たち日本人にとって、有効な方法だといえるだろう。

「場の空気」が良ければ、人はどんどん動き出す。一方で、チームメンバーのやる気がないとき、私たちは相手の中に答えとなる理由があると思ってしまいがちだが、それはそもそも「本人の問題ではなく、『場の空気』がそのような態度にさせている」のかもしれない。そのように受け止めることができれば、リーダーはメンバーの態度に苛立つこともなく、冷静に対応することができるだろう。

本書で描かれているリーダーとメンバーとの対話の例は、まさにありそうなものばかりだ。「場の空気」を知らず知らずのうちに悪くしていた、自分たちの態度に気づくこともあるかもしれない。

チームを束ねる立場の方、また、チームの同僚をやる気にさせたい方は、本書の中にヒントを見つけることができるのではないだろうか。

著者

横山 信弘
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。コラムニストとしても人気で、コラム「草創花伝」の月間総アクセス数は200万PVを超える。メルマガ「草創花伝」は全国2万5000名超の経営者、管理者の読者を抱えており、会話形式でNLP理論、脳科学、行動経済学を使ったコミュニケーション技術を紹介するオリジナリティあふれる手法が受けている。主な著書に、『絶対達成する部下の育て方』『絶対達成マインドのつくり方』『脱会議』などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本人は、「場の空気」に影響されやすい。メンバー個人の能力を向上させようとする前に、「場の空気」に注目することが必要だ。「場の空気」は人の心の変化や人員増減などで変化するが、意識して理想的な「締まった空気」を作っていくことは可能だ。
  • 要点
    2
    「空気改革」は「空気の下地作り」や「ティーチング」、「正しい承認」をおこなうことで進んでいく。とくに、周りの影響を受けやすい「可燃人」に働きかけ、彼らの意識を高めていくことがポイントだ。

要約

チームの「空気」を現状分析せよ

「空気」の4つの種類
jocic/iStock/Thinkstock

組織やチームで良い結果を導こうとするとき、多くのリーダーは、従業員やメンバー個人の能力向上に目を向けがちだ。しかし、リーダーがメンバーの能力を向上させる前にやるべきことがある。それは、メンバーが実力以上の力を発揮できる「環境」を作ることだ。

「場の空気」が悪いと、能力が高い人間がチームにいても、結果が出ないチームになりやすい。逆に、「空気」を味方につければ、メンバーのポテンシャルが引き出され、新人も勝手に育っていく。

筆者は、場の空気には4つの種類があると考える。それらは、紐結びにたとえて、「締まった空気」、「緩んだ空気」、「縛られた空気」、「ほどけた空気」と表現されている。

①締まった空気

きつすぎないけれど、一定の緊張感が持続する空気。

②緩んだ空気

締めたのに、時間とともに緩んできた状態。そのまま放置しておくと、どんどん緩んでくる。

③縛られた空気

きつく締めつけられた状態。特定の人の力によって「縛られた」状態であることが多い。身動きがとれず、不自由な感覚、窮屈な気分を味わうことになる。

④ほどけた空気

緩みすぎてほどけたか、きつく縛りすぎて切れてしまった状態。倫理観が欠如しており、「モラル・ハザード」を起こしている。公然と後ろ向きな発言をする人が現れ、崩壊に向かっているチームに見られる空気。

「理想的な空気」とはもちろん、「締まった空気」である。

4つのステージと「空気」の関係

チームのライフサイクルによって、生じやすい「空気」の種類がある。

①チーム黎明期

チーム発足当時は、一定レベルの緊張感が漂っている。ストレス耐性が高い時期なので、リーダーはチームを引き締めやすく「締まった空気」が充満している。

②チーム成長期

商品の良さ、創業者のパワーなどにより、チームは成長期を迎える。しかし、順調なときほど気が緩みやすく、メンバーに宿る慢心が「場の空気」を悪くし、「緩んだ空気」になりやすい時期だ。

③チーム過渡期

何らかの事情でチームの成績が振るわなくなった状態。対策は次の3種類に分けられる。「原点回帰」、「放置」、「専制化」だ。「原点回帰」すれば「締まった空気」に戻り、「放置」すれば「緩んだ空気」がエスカレートする。強力なリーダーの下、独善的な指導が始まれば「縛られた空気」へと変わっていく。

④チーム衰退期

メンバーが自由の意味を勘違いし、「モラル・ハザード」へ突き進んでいる状態。

「悪い空気」の元凶を解明せよ

空気が変わる3つの原因

「空気」が人に与える影響は大きいので、リーダーがチームを正しく統制するためには「場の空気」をコントロールしていく必要がある。空気が変わる原因は主に3つだ。

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要約公開日 2014.09.26
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