組織やチームで良い結果を導こうとするとき、多くのリーダーは、従業員やメンバー個人の能力向上に目を向けがちだ。しかし、リーダーがメンバーの能力を向上させる前にやるべきことがある。それは、メンバーが実力以上の力を発揮できる「環境」を作ることだ。
「場の空気」が悪いと、能力が高い人間がチームにいても、結果が出ないチームになりやすい。逆に、「空気」を味方につければ、メンバーのポテンシャルが引き出され、新人も勝手に育っていく。
筆者は、場の空気には4つの種類があると考える。それらは、紐結びにたとえて、「締まった空気」、「緩んだ空気」、「縛られた空気」、「ほどけた空気」と表現されている。
①締まった空気
きつすぎないけれど、一定の緊張感が持続する空気。
②緩んだ空気
締めたのに、時間とともに緩んできた状態。そのまま放置しておくと、どんどん緩んでくる。
③縛られた空気
きつく締めつけられた状態。特定の人の力によって「縛られた」状態であることが多い。身動きがとれず、不自由な感覚、窮屈な気分を味わうことになる。
④ほどけた空気
緩みすぎてほどけたか、きつく縛りすぎて切れてしまった状態。倫理観が欠如しており、「モラル・ハザード」を起こしている。公然と後ろ向きな発言をする人が現れ、崩壊に向かっているチームに見られる空気。
「理想的な空気」とはもちろん、「締まった空気」である。
チームのライフサイクルによって、生じやすい「空気」の種類がある。
①チーム黎明期
チーム発足当時は、一定レベルの緊張感が漂っている。ストレス耐性が高い時期なので、リーダーはチームを引き締めやすく「締まった空気」が充満している。
②チーム成長期
商品の良さ、創業者のパワーなどにより、チームは成長期を迎える。しかし、順調なときほど気が緩みやすく、メンバーに宿る慢心が「場の空気」を悪くし、「緩んだ空気」になりやすい時期だ。
③チーム過渡期
何らかの事情でチームの成績が振るわなくなった状態。対策は次の3種類に分けられる。「原点回帰」、「放置」、「専制化」だ。「原点回帰」すれば「締まった空気」に戻り、「放置」すれば「緩んだ空気」がエスカレートする。強力なリーダーの下、独善的な指導が始まれば「縛られた空気」へと変わっていく。
④チーム衰退期
メンバーが自由の意味を勘違いし、「モラル・ハザード」へ突き進んでいる状態。
「空気」が人に与える影響は大きいので、リーダーがチームを正しく統制するためには「場の空気」をコントロールしていく必要がある。空気が変わる原因は主に3つだ。
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