幸せが見つかる23のヒント

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幸せが見つかる23のヒント
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
出版日
2014年04月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「失ったんじゃない、喪失を獲得したんだ」。著者ががんで片脚を切断することになった時に考えたことだ。本書は、著者が、がんの闘病中に獲得した、人生を幸せに生きるために役立つ23のヒントを紹介している。

10代の頃は誰でも、眠れない夜に、将来や人生について物思いにふけったことがあるだろう。著者はその多感な時期――14歳からの10年間を、入退院を繰り返して過ごした。生死が隣り合わせにある境遇のなかでも、著者は自分自身が幸せになれる世界に近づく鍵を見出していった。そして、彼のがんは完治した。

そこには、前述の「喪失を獲得する」というような発想の転換法や、自分を受け入れ、人生を肯定的に捉えるポジティブな考え方が詰まっている。ほかにも、たとえば、人生の診断記録(カルテ)をつける、1日5つの質問をノートに書く、といった、日々を前へ、希望にあふれる方向へ進めていく方法が提案されている。

本書は、実際的な問題へのストレートな対応策や答えを提示するものではなく、自分なりに人生に向き合っていくことを助けてくれる1冊だ。

最終章で、人生の終わりとの向き合い方について著者は言及する。死を近くに感じ続けた著者だからこそ、「終わりを考えることは人生を考えること。この世で何をしたいかが具体的に見えてくる」という言葉には、重みがある。本書を最後まで読み終えたときには、人生で大切なものに気づくことができるだろう。

著者

アルベルト・エスピノーザ
1973年バルセローナ生まれ。スペインで現在最も注目されている脚本家で映画監督、俳優、作家。14歳から10年間、がんで闘病生活を送る。完治後、自身の経験に基づいたドラマや劇を精力的に発表。その原動力となったポジティブな世界観をまとめた本書は、世界で140万部の爆発的ベストセラーとなる。本書をベースとしたドラマも大ヒットし、スティーヴン・スピルバーグによる英語リメイク版も放映が待たれている。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は、幸せに生きたいと思う世界、人生観を〈イエローワールド〉と名づけている。がんの闘病中に気付いた23の発見は、それぞれの人のイエローワールドを見つけるヒントとなるものである。
  • 要点
    2
    ヒント例1:失うことはいいことだ。喪失を、理解し、正面から向き合う習慣をつければ、失うものはない。すべての喪失は獲得なのだ。
  • 要点
    3
    ヒント例2:人生を変えるかもしれない情報に向き合うときは、30分待とう。起きたことを認識し、解決しようとする力が湧いてくるので、軽率な判断を避けられる。

要約

〈イエローワールド〉とは

明るい太陽の色の人生観
Evgeni Bazanov/iStock/Thinkstock

著者はよく「どうやってがんから生還したか」と聞かれるそうだ。が、がんを克服するのにコツや秘訣はない。自分に耳を傾け、闘いを挑み、自分の力を信じる、それだけだ、という。

がんが教えてくれたことと、それを日常生活にどうやって活かしていけるかということが、本書では紹介されている。

がんは生きている。だから、がんと闘うと、いろんなことを考えさせられ、学ぶことになるのだ。

著者は、自分自身を幸せにしてくれる世界、そこで生きていきたいと思う世界を〈イエローワールド〉と呼ぶ。いい時と悪い時、両方から学び取った教えがそこにはある。

イエローワールドにはルールがない。「これは正しい」という絶対的なものもない。物事にはいつも二つの顔、二つの側面があるからだ。既成概念もレッテルもノルマもない。

イエローワールドで生きるためにしなければならないのは、信じることだ。信じれば物事は叶う。著者が提唱する23のヒントを頭の中でつないでいけば、自身のイエローワールドを見つけ、思いきり生きるやり方が見えてくるだろう。

【必読ポイント!】幸せが見つかる23のヒント

失うことはいいことだ
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

昔は誰かが死ぬと集まって喪に服したものだ。黒い服をまとい、家にこもった。「喪」とは、喪失のことを考え、喪失を生きるための時間だった。ところが現代では、喪を通過することは難しく、何もなかったかのような振る舞いをすぐに求められる。例えば、恋人と別れた2週間後には「誰かとデートしろ」とせっつかれたりもする。

がんで片足を切断することになった著者は、手術の前日、主治医にこう言われた。

「脚のさよならパーティをやるといい。君の脚にゆかりある人を招いて、脚を盛大に送り出してやるんだ。君を支えてきてくれたんだろう? それなら今度は君が送り出してやる番だ。」

著者はいろんな人を脚のさよならパーティに招いた。最初は雰囲気が重かったが、そのうち和んできて、みんなが脚にまつわるエピソードを話したり、脚に触ったりした。そして、最後に著者は二本脚で踊る最後のダンスを踊った。

パーティの翌日、脚は切断されたけれど、きちんとお別れをしたので、著者は悲しくなかった。そして、こう考えるようになった。脚を「失った」んじゃない、切断を「獲得した」んだ、と。

この考え方はがんのない人生にもあてはめることができる。何かを失った時、「失ったんじゃない、喪失を獲得したんだ」と自分に言い聞かせること。そして、喪に服すこと。

以下のような順序でやってみるとよいだろう。

1.喪失を楽しむ。

2.そして、苦しむ。

3.泣く。

4.じっくり時間をかけて、喪失によって得られるものを探す。

5.再び得たものも、いつかは失われるかもしれないと覚えておく。

30分後、問題解決力は高まる

闘病中、著者はよく病院にCTスキャンやX線検査の結果を取りに行った。検査結果が入った封筒には、必ず封をしたまま医者に渡すことと書かれている。けれど、そこにはがんの転移が伝えられているのかもしれないので、ものの2分と経たないうちに封筒を開けずにはいられない。

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要約公開日 2014.09.16
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