リーダーシップ・エッセンシャル

個人、人間関係、チーム、そして組織へと広がるコヴィー・リーダーシップの全貌
未読
リーダーシップ・エッセンシャル
リーダーシップ・エッセンシャル
個人、人間関係、チーム、そして組織へと広がるコヴィー・リーダーシップの全貌
未読
リーダーシップ・エッセンシャル
出版社
キングベアー出版
出版日
2014年03月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「リーダーシップとは何か?」と聞かれて、大抵の人は「ゴールを明確化する、ビジョンを設定する」と答えるだろう。でも、多くの人が忘れがちなのが、「相手のやる気をあげる、適切に評価する」といった相手の気持ちや立場を考慮した態度ではないだろうか。

本書は、人生で成功するために必要なリーダーシップの要素について、網羅的かつ体系的にまとめられたものだ。決して成功者の体験談のようにさらさらと読み進められるものではないが、読み終わった後には、リーダーシップに関する多くの知見を得られるだろう。コヴィー博士は、現在のマネジメントは、会計に見られるように部下=人を経費と捉えているため、能率的な自己管理や目標達成といった短期的な方法論に注意が向きがちであると警告する。長期的な成功のためには、部下=人を建物や土地のように資産として捉え、各人の能力や可能性を引き出すリーダーシップが求められるのだ。

他者の可能性を引き出すリーダーシップでは、スキルやテクニック等よりも、自らの人格に目を向け他者の信頼を築く「セルフ・リーダーシップ」を発揮することが重要だ。至極当たり前のことだが、他人を導く人間がまず自分をセルフコントロールできなければ、その影響力は限定的なものに留まるだろう。そして、リーダーシップにはある一定のステップがあり近道はない。簡単に言えば、自分の肉体のコントロール、早寝早起きや暴飲暴食を慎むことができない人間が、怒りや落胆といった自分の感情をコントロールして、自分とチームを目標に向かって導くことなどできる訳ないのだ。

著者

スティーブン・R・コヴィー
20世紀で最も影響力のあるビジネス書とされる『7つの習慣 成功には原則があった!』の著者。リーダーシップ研究の第一人者として国際的な評価を得た著者は、英国「エコノミスト」誌によれば、今、世界で最も大きな影響力を持つビジネスの思想家とされている。フランクリン・コヴィー社の共同創設者・副会長、教師、作家、組織のコンサルタントとして世界中で活躍した。ハーバード大学でMBAを取得後、ブリガム・ヤング大学で博士号を取り、同大学の組織行動および経営管理の教授を務める。CoveyLeadershipCenterを1983年に設立(97年にフランクリン・クエスト社と合併)。フランクリン・コヴィー社の共同創設者・副会長を勤めながら、約30年間にわたり、アメリカの最優良経営コンサルタントとして世界各国の政府やリーダーと交流した。2012年7月米国アイダホ州にて死去。

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーシップは、職位や地位に依存するものではなく、誰もが発揮する権利を持っている。留意すべきは、まず自分自身が変わることでしか、周囲が影響を受け、変化を起こすことはできないということだ。
  • 要点
    2
    セルフ・リーダーシップを発揮するためには、率先力を発揮し、進んで行動を起こす責任を自覚することが重要である。
  • 要点
    3
    ポジティブな力とネガティブな力があり、その力関係を変えたい場合には、ポジティブな力を強めるよりも、シナジーを創り出すことを意識することにより、驚くような効果が得られる。

要約

リーダーシップとは何か?

Don Stevenson/Hemera/Thinkstock
リーダーシップとは、選択、役割、パラダイムを包括した存在である

リーダーシップを発揮するためには、自らの人格に目を向け、信頼性を築く「セルフ・リーダーシップを発揮する」プロセスが必要不可欠である。リーダーシップというと、周囲に働きかけようとすることが多い。しかし、誰も直接的に他人の考えや行動を改めることはできない。できるのは自分自身のパラダイムや行動を変え、周囲が影響を受けることで、変化を起こすことだけである。そして、そのために必要なのが、はっきりしたビジョンだ。リーダーシップを発揮する人たちは、外的な状況に左右されることなく、自主的に判断しビジョンに基づいた行動を選択することができるのだ。

リーダーシップの役割は、もう一つある。共通のビジョンと目的を持って働けるように、社員を鼓舞することである。戦略的なリーダーは、愛情を持って社員を鼓舞し、補完的なチームを作り上げることができる。ただし、効率よりも効果を重視し、方法、手段、システムよりも方向性と結果を重視する姿勢が大事だ。

さらに、リーダーシップは、パラダイムシフトをしていかなければならない。その一つとして、褒美と罰によって生産性を向上させようとする原始的な「アメとムチ」のビジネスパラダイムから離脱し、「社員や部下に正しい原則を教え、彼らが自分自身のボスになり原則を遂行する」という新しいパラダイムに移すべきである。

リーダーシップとは、傾聴である

リーダーシップを発揮したい、周囲に影響を及ぼしたいと思うとき、誰もが陥ってしまうのが、最初から「指導する」行動をとってしまうことだ。他人に影響を及ぼしたければ、思いやり溢れる人間関係を築く必要がある。そして、人間関係を築くには、まず他人の誠意を信じることだ。心からの信用は、ほとんどの人の隠された能力を解き放つはずである。

人とコミュニケーションしているときは、五感のすべてを使って、本当に集中して共感による傾聴をすることだ。人は本当に理解されたと感じたときに初めて、他者の影響を受け入れようとするものなのだ。相手はこう思っている。

「私に影響を及ぼしたいのなら、まず私を理解してほしい。私の考え方や立場、状況を本当に理解していなければ、どうやって助言やアドバイスをしていいのか、あなたに分かるはずがない」「あなたがどれだけ知っているかは気にしない。あなたがどれだけ気にしてくれているかが知りたい」

他人に変革をもたらし能力を向上させる第一歩は、その人のあるがままを受け入れ、その人の内在的価値を肯定することなのだ。つまり、リーダーシップとは、傾聴することなのである。

リーダーシップの4つのレベル

lightkeeper/iStock/Thinkstock
インサイド・アウトのパラダイム〜個人から組織へ〜

リーダーシップは、自分自身を内面から変えるインサイド・アウトの変化から始まる。このインサイド・アウトには次の4つのレベルがある。レベル1:個人、レベル2:人間関係、レベル3:チーム、レベル4:組織である。

個人のレベルにおける信頼性は、人格と能力に基づいている。多くの誠実で素晴らしい人々が、次第に職場での信頼性を失っていくのは、彼らの能力が組織の中で「時代遅れ」になってくるからである。

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要約公開日 2014.09.26
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