燃える闘魂

未読
燃える闘魂
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燃える闘魂
出版社
毎日新聞社
出版日
2013年09月04日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

稲盛和夫氏と聞き、あなたはいったい何を想像するだろうか。京都セラミック(現京セラ)、第二電電(現KDDI)を設立、さらには経営破綻した日本航空を劇的にまで再生させた優れた起業家であり経営者であることを思い浮かべるかもしれない。更には、「アメーバ経営」を考案するとともに、若手起業家を集める「盛和塾」の塾長として、経営者のカリスマとして君臨する姿かもしれない。しかし、本書にあるように人として類まれな覚悟を持った「燃える闘魂」の持ち主であることが、他の経営者と圧倒的な差を隔てるものではないだろうか。

本書は経営者がどのような心構えで会社を守るべきか、腹の底までの覚悟を問う厳しく激しい内容である。その言葉は過去の輝かしい実績を築く中で培われたものであるだけに、重みをもって伝わってくる。そのような著者でさえ、本田宗一郎氏などの過去の偉大な経営者を慕い、影響を受けてきている。現代の若手経営者が著者のような本物の経営者の生き様を参考にすべきであることは言うまでもない。

本書には従業員と一つになる具体的なノウハウも含まれているとは言え、主には心構えが主題である。経営に携わる者でつい甘えが出て成り行き任せになったときこそ、修行僧が滝に打たれるような気持ちになり本書を手に取るべきであろう。

ライター画像
大賀康史

著者

稲盛 和夫
1932年、鹿児島市に生まれる。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年から名誉会長。また84年に第二電電(現KDDI)設立し、会長に就任。01年に最高顧問。10年に日本航空会長に就任。代表取締役会長を経て、13年に名誉会長。84には私財を投じ稲盛財団を設立し、理事長に就任。同時に国際賞「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。他にも若手経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注ぐ。
主な著書に『生き方』(サンマーク出版)、『ゼロからの挑戦』(PHP研究所)、『アメーバ経営』(日本経済新聞社)、『働き方』(三笠書房)、『君の思いは必ず実現する』(財界研究所)、『「成功」と「失敗」の法則』(致知出版社)、『人生の王道』(日経BP社)、『ど真剣に生きる』(NHK出版)などがある。
稲盛和夫オフィシャルホームページ http://www.kyocera.co.jp/inamori/

本書の要点

  • 要点
    1
    日本の近代史を振り返ると、四十年ごとに「盛」と「衰」が転換する八十年周期が存在する。明治維新で勃興、1905年に日露戦争の勝利、1945年の第二次世界大戦の敗戦、1985年に経済的なピークを迎えた後、2025年には「衰」の底に至ろうとしている。それまでにわれわれに残された時間は刻々と短くなるばかりである。
  • 要点
    2
    どのような分野であれ、日本には世界に誇るすばらしい技術があり、勤勉で篤実な従業員も存在する。いまこそ優れた先人達のように、闘争心をたぎらせた中小企業経営者が立ち上がれば、日本経済復活も実現できるのではなかろうか。
  • 要点
    3
    美しく高邁な「徳」を備えた日本人にとって、「なにくそ、負けるものか」という強い思い、すなわち「燃える闘魂」を呼び覚ますことが、いまなによりも肝要である。

要約

日本の盛衰

八十年周期
iStock/Thinkstock

著者は本書で日本再生に向け経営者が何を志すべきか、その経営哲学を指南している。その前提として押さえておくべきは、日本の現状に対する著者の憂いであろう。

1985年に経済発展の頂点を迎えた日本は、方向転換を促す警鐘があったにもかかわらず、旧来通りの経済成長をつづけるためカンフル剤を継続的にうった。補正予算を組み公共投資を続け、財政出動を繰り返すことでその場しのぎをつづけた結果、バブル経済が崩壊し、その後「失われた二十年」と称されるほど後遺症が続いた。現在の国債残高はGDP比で200%を超え、もはや破綻寸前の様相を呈している。

日本の近代史を振り返ると、40年ごとに「盛」と「衰」が転換する八十年周期が見てとれる。明治維新で勃興した日本が四十年後の1905年に日露戦争の勝利で頂点を迎え、40年後に第二次世界大戦の敗戦、1985年に経済的なピークを迎えている中で2025年には「衰」の底に至ろうとしている。それまでにわれわれに残された時間は刻々と短くなるばかりだ。

激しい闘争心を燃やす
iStock/Thinkstock

そのうえでいまの日本に必要なのは、いわば「燃える闘魂」であると著者は語る。著者は事業を成功させるために時代や環境の違いに関わらず必要なことがらとして、以下の十二カ条をまとめている。

一、 事業の目的、意義を明確にする

二、 具体的な目標を立てる

三、 強烈な願望を心に抱く

四、 誰にも負けない努力をする

五、 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える

六、 値決めは経営

七、 経営は強い意志で決まる

八、 燃える闘魂

九、 勇気をもって事に当たる

十、 常に創造的な仕事をする

十一、 思いやりの心で誠実に

十二、 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で

このなかの第八条「燃える闘魂」こそ、いまの日本に必要なものだと著者はいう。ビジネスの世界において、リーダーはどのような厳しい状況に遭遇しようとも、「絶対に負けない」という激しい闘争心を燃やし、その姿を部下に示していかなければならない。経営者は格闘技の選手にも勝るとも劣らないほどの気迫と闘魂が求められるのだ。

【必読ポイント!】「燃える闘魂」の経営

本田宗一郎氏との出会い

著者が会社を創業して間もない頃、温泉旅館を借りた経営セミナーに当時は大金である数万円を支払い参加する。姿を現した目当ての本田宗一郎氏は作業着姿で登場し、開口一番一喝する。

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要約公開日 2014.01.14
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