あなたらしく導きなさい

愛されるリーダーの生き方、愉しみ方
未読
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あなたらしく導きなさい
出版社
海と月社
出版日
2013年05月27日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「リーダーシップとは、どうやるかではなく、どうあるかの問題だ。」著者、フランシス・ヘッセルバイン氏は語る。「あなたも私も、人生のほとんどを、どうやるかを学んだり、それを人に教えたりするために費やしている。しかし、結果を決定づけるのはリーダー自身の質と人格だ。リーダーシップとは、どうやるかではなく、どうあるかの問題なのだ。」

ヘッセルバイン氏は、ガールスカウト米国連盟が会員数の減少の危機に瀕していた時期にCEOに就任し、13年間をその変革に捧げた。そして、階層的でなく、円環的で包括的な組織、自ら学習し、進化していく組織を見事に構築した。加えて、現代社会に合った、多様な人種や民族の少女たちが集うガールスカウトに生まれ変わらせた。また、著書『マネジメント』で知られるドラッカーと深い親交があり、彼の哲学を実践した。そんな彼女が、自らの経験をまじえながら、温かい語り口でリーダーシップ・マネジメント論を語る。

どんなときもミッション(組織の存在理由)を最優先する、正しいかどうかよりも誠実であれ、価値観を目に見える形で実践すること、ビジョンを組織全体で共有すること、など、彼女の言葉には経験に根差した知恵がつまっている。リーダーシップについて考えをより深めたい方にとって、貴重な示唆がちりばめられた一冊である。日本ではまだ数少ない、女性リーダーが執筆した書籍としても注目したい。

著者

フランシス・ヘッセルバイン
リーダー・トゥ・リーダー・インスティテュート(旧ドラッカー財団)理事長兼CEO。1976年にガールスカウト米国連盟初の現場出身CEOに就任。存続の危機にあった同連盟を劇的に復活させる。その語、ドラッカー財団の初代CEOに。「米国最高のマネジャー」としてビジネスウィーク誌の表紙を飾ったほか、フォーチュン誌、ニューヨーク・タイムズ紙などでも稀代のリーダーとして激賞された。1998年、米国市民に与えられる最高の栄誉、大統領自由勲章を受勲。その他、受賞・受勲多数。これまでに授与された名誉博士号は20に及ぶ。2009年には、ピッツバーグ大学が、世界の重大問題に対処できるリーダーを育成することを目指して、「学生のリーダーシップと市民の関与のためのヘッセルバイン・グローバル・アカデミー」を設立。彼女自身は、現在も複数の非営利組織の理事や企業の取締役を務めている。著書に『リーダーの使命とは何か』(海と月社)、共著に『アメリカ陸軍リーダーシップ』(生産性出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ミッションの成功のためには、ミッションに寄与しないものに対して「ノー」をいうことが大事だ。
  • 要点
    2
    組織を改革するときには、「インクルージョン」を行う、つまり、すべての段階にすべての関係者を関与させることで、メンバーの信頼や、士気を高めることができる。
  • 要点
    3
    リーダーとしてのコミュニケーション術にも秘訣がある。決定事項を突然発表して驚かせるのでなく、よく相談することは、信頼感を生む。相手のいうことをよく聞き、また、自分のこともよく聞いてもらえるようになることも大切だ。

要約

「ノー」の力に目覚めよう

ミッションに忠実であれ
fotyma/iStock/Thinkstock

組織の未来の成功を目指し、重要な戦略に注意を払うためには、自分や組織にふさわしくないことに「ノー」と言うことは重要だ。そうしないと、組織のミッションを、雑多な活動にかき乱されてしまう。

ヘッセルバイン氏がガールスカウト米国連盟のCEOを務めていたとき、企業からよく「甘い話」をもちかけられたそうだ。ガールスカウトには家々をまわってクッキーを売る伝統があったので、こうした企業は少女たちを宣伝活動に使えると思ったのだ。連盟には、クッキーと一緒に自社のパンフレットを配ってくれるなら高額の報奨を払うという申し出が多くあった。

しかし、少女たちに営利企業の販促資料を配らせることは、ガールスカウトのミッションとは何ら関係のないことだ。クッキー販売は、少女たちがスキルを身につけることを目的とした、ガールスカウトのプログラムなのだ。資金面ではたしかに魅力的だが、実際には少女たちを利用するような申し出だと判断し、ヘッセルバイン氏は全て断った。

ガールスカウトのミッションを、「少女のための、ひとつの偉大な運動」とヘッセルバイン氏は呼んだ。であるからして、このような申し出に対して、まず問わなくてはならないのは、「少女たちの成長に寄与するか」であるという。すると、どのような返事をするかはおのずと導き出されることになる。

ミッションに集中してさえいれば、魅力的に見えてもミッションに寄与しない申し出には、難なくノーと言うことができる。

インクルージョンの重要性

課題を抱えていたガールスカウト米国連盟
Catherine Yeulet/iStock/Thinkstock

ヘッセルバイン氏がCEOに就任した1976年、ガールスカウト米国連盟は、すべての少女のニーズに応えられるような、現代的なプログラムをつくる必要性に迫られていた。急速に変化してゆく現代世界には、麻薬や10代の妊娠・出産など、少女の健全な成長を妨げる問題があふれていた。しかし、ガールスカウトの少女たちは、いまだに12年前のハンドブックとプログラム教材を使っていた。

そこで、1年間で4種類のハンドブックを制作すること、また6歳から17歳の少女を年齢によって4つの部門に分け、それぞれについて新しいプログラムをつくることを、ヘッセルバイン氏は宣言した。当初、そんな短期間で何ができるものかと、懐疑的に思うメンバーが多数いたが、ヘッセルバイン氏は自らのことばを守り、それを成し遂げた。

また、ガールスカウト米国連盟では8年連続で会員が減っていた。特に、人種的・民族的マイノリティに属するメンバーは、全体のわずか5%であり、米国の人口構成比と著しく異なった。そこで、人種や文化を問わず、移民を含め、すべての少女(ヨーロッパ系、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブアメリカン、イヌイットなど)が自分の居場所を見出せるガールスカウトを目指して、パンフレットやポスターが作られた。結果、マイノリティ集団に属するメンバーは3倍以上に増え、当時減少傾向にあった会員数は上昇に転じ、会員数は225万人、スタッフは78万人となり、組織は大きく勢いを盛り返した。

あらゆる段階で人々が参加できているか?
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

これらが可能となったのも、改革にあたって「インクルージョン」を実践したからであった。つまり、

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要約公開日 2014.10.24
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