Z世代マーケティング

世界を激変させるニューノーマル
未読
Z世代マーケティング
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未読
Z世代マーケティング
出版社
ハーパーコリンズ・ジャパン

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出版日
2021年10月06日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「Z世代は自分たちと違いすぎて理解できない」と思っている方も多いだろう。生まれたときからスマホやタブレット、スマートスピーカーなどが身近にあったZ世代は、それまでの世代と価値観が大きく異なる。彼らは娯楽、勉強、職探し、貯金など、生活のありとあらゆる事柄をすべてスマホでやってのける。

2022年現在、Z世代の年齢は最年長であっても20代半ばだ。彼らの及ぼすインパクトは、さほど大きくない。だが10年もすると、彼らはビジネスパーソンや消費者としての影響力を増していく。「これだから最近の若者は……」「まったく理解できない」と言って目を背け、従来のやり方に固執していると、痛い目を見ることになるかもしれない。

本書は、世代研究を行うセンター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクスの創設者によって書かれたものだ。一日の過ごし方、お金に対する価値観、企業選びで重視するポイント……著者らの調査・研究によって、Z世代の等身大の姿が明らかにされている。

Z世代の台頭は企業にとって、ピンチにもチャンスにもなりうる。彼らが何を考え、どのような価値観をもっているのかを知りたいのであれば、まずは本書を手に取ってみてほしい。本書以上に詳しく、かつビジネスに結びつける形で解説してくれている書籍はなかなか見つからないだろう。特にZ世代を顧客にしたいマーケターや、採用を促進したい経営者、Z世代の部下の育成に頭を悩ませているビジネスパーソンにとっては必読の一冊である。

ライター画像
小林悠樹

著者

ジェイソン・ドーシー (Jason Dorsey)
世代研究、講演、コンサルティングを行うリーディングカンパニー、センター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクス(CGK)の共同設立者、所長。Z世代やミレニアル世代研究の専門家として、テクノロジー、ヘルスケア、小売、金融サービスなど各業界の大手グローバルブランドで課題解決の手助けを行う。これまでに〈60ミニッツ〉ほか200以上のキー局テレビ番組に出演したほか、世界中で行った基調講演は1,000回以上、聴衆は16,000人にのぼる。CGKでの活動のほかに上場および非上場の取締役も務め、企業のCEOや取締役会、スタートアップ創業者、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティと協業する。
大学在学中、18歳のときに自費出版した著書が話題となり、ニューヨーク・タイムズ紙のカバーストーリーにも登場。メディアからは「リサーチの第一人者」とも評される。

デニス・ヴィラ(Denise Villa, PhD)
センター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクス(CGK)の共同設立者、CEO。同社の調査研究チームを率いる。エンターテインメント、保険、ヘルスケア、コンシューマー・テクノロジー等のグローバル企業を顧客に持ち、消費者リサーチを担っている。
テキサス大学オースティン校で学士号を、テキサス州立大学で修士号と博士号を取得ののち、世代にまつわる社会通念と真実との間には大きなギャップが存在するという気づきを出発点に、世代研究の専門家としての道を進む。より良い意思決定を求める企業幹部向けに、ニューヨーク、マイアミ、ダラス、ラスベガスなど全米の都市でプレゼンテーションをする機会も多い。Z世代に関する研究はワシントンポスト紙で特集記事が組まれたほか、ウォール・ストリート・ジャーナル紙など数多くのメディアに取り上げられた。

本書の要点

  • 要点
    1
    Z世代は1996~2012年生まれの世代である。ほかの世代よりもテクノロジーとの融合レベルが段違いに高い、「真の接続優先世代」だ。
  • 要点
    2
    Z世代は音声検索やYouTubeを積極的に使って、何かを調べたり学んだりする。ショッピングから就職活動まで、ありとあらゆることをスマホの画面上で行っている。
  • 要点
    3
    Z世代が企業に期待するのは、「価格」「パーソナライゼーション」「社会的責任」の3つである。Z世代を顧客として取り込みたいのであれば、Z世代の嗜好を理解し、それに寄り添うことが欠かせない。

要約

【必読ポイント!】 Z世代の生きる世界

真の接続優先世代

本書ではZ世代を、1996~2012年生まれと定義している。ここでいう「世代」とは「地理的な結びつきがあり、おおよそ同じ成長過程の時期に同様の社会的・技術的・文化的出来事を体験しており、それゆえ予測可能性が高い集団の区分」である。Z世代と次の世代は、間違いなくコロナ禍によって分けられることになるだろう。

著者らが経営するセンター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクスでは、毎年、Z世代の考え方や行動、価値観などにまつわる調査報告書を発表している。2019年版の調査では、「95%のZ世代は週1回以上ソーシャルメディアを利用・閲覧する」「74%のZ世代は、テクノロジーを使わない娯楽を知らない」という2点が明らかになった。彼らはスマホやタブレットを駆使し、場所や時間に関係なく世界中の情報にアクセスしている。テクノロジーへの依存傾向が見られ、Z世代の31%は30分でもスマホから離れていると落ち着かないという。さらに3割ほどが、1日10時間以上スマホを使う。

幼いころからiPadを与えられ、テレビもスワイプしてしまう彼らは、アプリや動画などのメディア・プラットフォームで語学や算数、化粧、トイレトレーニングまで習ってきた。Z世代は、テクノロジーとの融合レベルが段違いに高い「真の接続優先世代」なのだ。

Z世代が見てきたもの
LordHenriVoton/gettyimages

アメリカのZ世代は、物心ついたころからアフリカ系アメリカ人が大統領を務めており、同性婚の合法化や学校での銃乱射事件、国内でのテロ、気候変動問題のニュース、さらには新型コロナウイルスの蔓延をも目撃してきた。

だからこそ、Z世代の価値観には他の世代にはない特徴が見られる。そのひとつは、ダイバーシティやインクルージョン、男女の賃金格差、銃規制、環境への責任といった社会問題への関心が高いことだ。ミレニアル世代とは違い、ソーシャルメディアを使って、家に居ながら社会運動に参加しているのも特徴的である。

変化する学習機会

Z世代は、他の世代よりもずっと学習機会に恵まれている。教科書の改訂を待ったり、よりよい教育を受けるために学費の高い学校に通ったりする必要はない。スマートフォンで、最新の情報をすぐに入手できるからだ。音声検索を使ってアレクサやシリに地理の問題の答えを教えてもらう、そんなことも朝飯前だ。

YouTubeの使い方も他の世代と異なる。情報や娯楽を求める際、使うのはグーグルではなくYouTubeだ。

ある調査によると、Z世代のインターネットユーザーの9割以上はYouTubeを利用しており、1回の平均視聴時間は40分、その数字は毎年平均50%ずつ上昇している。YouTubeは勉強、化粧、ダンス、ゲーム攻略など、さまざまなことを学ぶために用いられ、上の世代にとってのテレビのように利用される。

Z世代の典型的な一日
martin-dm/gettyimages

ここで少し、Z世代の生活をのぞいてみよう。20歳のイザベラは、朝8時半にiPhoneのアラームで目を覚ます。起きたらまず、大学の授業の課題を確認するためグーグル・クラスルームのアプリを起動する。

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要約公開日 2022.01.21
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