本書ではZ世代を、1996~2012年生まれと定義している。ここでいう「世代」とは「地理的な結びつきがあり、おおよそ同じ成長過程の時期に同様の社会的・技術的・文化的出来事を体験しており、それゆえ予測可能性が高い集団の区分」である。Z世代と次の世代は、間違いなくコロナ禍によって分けられることになるだろう。
著者らが経営するセンター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクスでは、毎年、Z世代の考え方や行動、価値観などにまつわる調査報告書を発表している。2019年版の調査では、「95%のZ世代は週1回以上ソーシャルメディアを利用・閲覧する」「74%のZ世代は、テクノロジーを使わない娯楽を知らない」という2点が明らかになった。彼らはスマホやタブレットを駆使し、場所や時間に関係なく世界中の情報にアクセスしている。テクノロジーへの依存傾向が見られ、Z世代の31%は30分でもスマホから離れていると落ち着かないという。さらに3割ほどが、1日10時間以上スマホを使う。
幼いころからiPadを与えられ、テレビもスワイプしてしまう彼らは、アプリや動画などのメディア・プラットフォームで語学や算数、化粧、トイレトレーニングまで習ってきた。Z世代は、テクノロジーとの融合レベルが段違いに高い「真の接続優先世代」なのだ。
アメリカのZ世代は、物心ついたころからアフリカ系アメリカ人が大統領を務めており、同性婚の合法化や学校での銃乱射事件、国内でのテロ、気候変動問題のニュース、さらには新型コロナウイルスの蔓延をも目撃してきた。
だからこそ、Z世代の価値観には他の世代にはない特徴が見られる。そのひとつは、ダイバーシティやインクルージョン、男女の賃金格差、銃規制、環境への責任といった社会問題への関心が高いことだ。ミレニアル世代とは違い、ソーシャルメディアを使って、家に居ながら社会運動に参加しているのも特徴的である。
Z世代は、他の世代よりもずっと学習機会に恵まれている。教科書の改訂を待ったり、よりよい教育を受けるために学費の高い学校に通ったりする必要はない。スマートフォンで、最新の情報をすぐに入手できるからだ。音声検索を使ってアレクサやシリに地理の問題の答えを教えてもらう、そんなことも朝飯前だ。
YouTubeの使い方も他の世代と異なる。情報や娯楽を求める際、使うのはグーグルではなくYouTubeだ。
ある調査によると、Z世代のインターネットユーザーの9割以上はYouTubeを利用しており、1回の平均視聴時間は40分、その数字は毎年平均50%ずつ上昇している。YouTubeは勉強、化粧、ダンス、ゲーム攻略など、さまざまなことを学ぶために用いられ、上の世代にとってのテレビのように利用される。
ここで少し、Z世代の生活をのぞいてみよう。20歳のイザベラは、朝8時半にiPhoneのアラームで目を覚ます。起きたらまず、大学の授業の課題を確認するためグーグル・クラスルームのアプリを起動する。
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