自分の時間

未読
自分の時間
出版社
出版日
2016年05月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

時間をどのようにやり繰りして有効活用するのかということは、古今東西を問わず、多くの人の関心を集めるテーマだ。本書でも述べられているように、時間は身分の貴賤や財産の多寡を問わず誰に対しても平等に与えられている。それなのに、何故あの人はあんなにも膨大な量の仕事をこなし、私生活も充実させているのだろうかと驚かされる人が、身の周りにいるのではないだろうか。

本書の著者は、20世紀イギリスを代表する文学者であり、非常に多作な作家であった。小説だけでなく、書評や、本書のような啓発書をいくつも書き上げ、毎日のように手紙も書いていたという。本書は20世紀初頭に発表されたものなので、現代とは時代環境が全く違うと思われるかもしれない。しかし、読んでみると、日々の生活や人生において時間を上手く作り出し、活用することの本質に、大きな変化はないように感じられる。便利なものがたくさん普及して、世界中の膨大な情報に瞬時にアクセスし、遠く離れた人たちと簡単にコミュニケーションをとれるようになっているにもかかわらず、結局のところ、人間はより時間に追い立てられるようになってしまった。短時間でたくさんのことをできるようになるということは、それだけやらなければならないことに縛られているのかもしれない。そんな時代に生きる私たちだからこそ、時間の使い方の本質が洞察されている本書から学ぶことは多いだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

アーノルド・ベネット(Arnold Bennett)
イギリスを代表する作家。日常生活の質を高めるための具体的なヒントを与えてくれる本書『自分の時間』は、彼の著作の中で最もよく愛読され、世界中の一流人が刺激を受けたとされるベストセラー。代表作に、20世紀英国小説の最高傑作といわれる『二人の女の物語』(岩波書店)がある。また自己修養、知的鍛錬の方法をまとめた啓発書として、本書のほかに『アーノルド・ベネットの賢者の習慣』(三笠書房)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    時間を活用できる充実した人生を送るためには、とにかく、「ただ始める」ことが大事だ。華々しくない、つまらない成功でも良い。
  • 要点
    2
    仕事の8時間以外にある、16時間というもうひとつの1日を有効活用しよう。そのために、週3晩、90分間の時間を、自分の興味があることを追求する時間にあてると良い。
  • 要点
    3
    取り組むのは、読書でも、家の周りにいる虫の研究でも、自分が心の底からやりたいと関心を持てることならばなんでも良い。

要約

1日1日に奇跡をもたらす時間の利用法

時間という、平等に与えられた財産

「時は金なり」という諺は古くからあるが、時間は金よりもはるかに貴重なものだ。時間こそがあらゆるものごとを生み出すもとであり、時間がなければ何も生み出せない。朝、目覚めると、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっていて、すべて、自分だけで使える貴重な財産だ。時間は誰からも取り上げられることも盗まれることもない。特権階級だからといって多く時間を与えられるわけではなく、民主主義的に、誰に対しても平等に与えられる。

誰もが、毎日を24時間で生活するしかない。人生のすべては、これをどのように利用するかで決まる。しかし、1日24時間で充分に生きている者はどれだけいるだろうか。誰もが、「もう少し時間があったら、あれを変えてみよう」と口にしたことがあるだろう。時間は確実に与えられるが、その量は冷酷なまでに限定されているのだから、もっと時間ができるわけなどない。われわれには、今あるだけの時間しかないという事実に気づくべきなのだ。

華々しい失敗よりもつまらない成功を
DutchScenery/gettyimages

仕事以外に何かをやりたいのに、何も始められていないという焦りを感じている人も多いだろう。やりたいことをやっていないという焦燥感から解放されるための秘訣は存在しない。「やりたい」と思っていることが何であれ、楽なやり方は存在しないのだ。24時間で充実した1日を過ごせるようになるためには、それがいかに難しく、多くの犠牲と努力が求められるかを悟らなければならない。

しっかりとしたスケジュールを立てても、理想的な生き方ができるようになるわけではない。必要なのは、「ただ始める」ということだけだ。時間は規則正しく、誰に対しても一定に与えられている。時間を前借りして浪費することはできない。今から先の全ての時間は、手つかずのまま、あなたのためにとっておかれているのだ。その気になれば、いつからでも巻き返しができる。だから、予定を立てて明日を待っていても意味がないのだ。

しかし、ただ始めるといっても、注意事項がある。それは、「いいことをやろう」と意気込みすぎないことだ。意気込みすぎると、それなりの結果を得られなければ満足できなくなり、失敗につながる。失敗者の多くは、あまりに多くのことを企てすぎていたのだ。華々しい失敗よりも、つまらない成功で大いに結構だ。華々しい失敗からは何も生まれないが、つまらない成功はつまらなくない成功をもたらすかもしれない。

24時間を最大限に生かすために

頭の中に「内なる1日」をつくる

朝10時から夕方6時まで会社で働く典型的なロンドン市民について考えてみよう。

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要約公開日 2022.02.24
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