「時は金なり」という諺は古くからあるが、時間は金よりもはるかに貴重なものだ。時間こそがあらゆるものごとを生み出すもとであり、時間がなければ何も生み出せない。朝、目覚めると、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっていて、すべて、自分だけで使える貴重な財産だ。時間は誰からも取り上げられることも盗まれることもない。特権階級だからといって多く時間を与えられるわけではなく、民主主義的に、誰に対しても平等に与えられる。
誰もが、毎日を24時間で生活するしかない。人生のすべては、これをどのように利用するかで決まる。しかし、1日24時間で充分に生きている者はどれだけいるだろうか。誰もが、「もう少し時間があったら、あれを変えてみよう」と口にしたことがあるだろう。時間は確実に与えられるが、その量は冷酷なまでに限定されているのだから、もっと時間ができるわけなどない。われわれには、今あるだけの時間しかないという事実に気づくべきなのだ。
仕事以外に何かをやりたいのに、何も始められていないという焦りを感じている人も多いだろう。やりたいことをやっていないという焦燥感から解放されるための秘訣は存在しない。「やりたい」と思っていることが何であれ、楽なやり方は存在しないのだ。24時間で充実した1日を過ごせるようになるためには、それがいかに難しく、多くの犠牲と努力が求められるかを悟らなければならない。
しっかりとしたスケジュールを立てても、理想的な生き方ができるようになるわけではない。必要なのは、「ただ始める」ということだけだ。時間は規則正しく、誰に対しても一定に与えられている。時間を前借りして浪費することはできない。今から先の全ての時間は、手つかずのまま、あなたのためにとっておかれているのだ。その気になれば、いつからでも巻き返しができる。だから、予定を立てて明日を待っていても意味がないのだ。
しかし、ただ始めるといっても、注意事項がある。それは、「いいことをやろう」と意気込みすぎないことだ。意気込みすぎると、それなりの結果を得られなければ満足できなくなり、失敗につながる。失敗者の多くは、あまりに多くのことを企てすぎていたのだ。華々しい失敗よりも、つまらない成功で大いに結構だ。華々しい失敗からは何も生まれないが、つまらない成功はつまらなくない成功をもたらすかもしれない。
朝10時から夕方6時まで会社で働く典型的なロンドン市民について考えてみよう。
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