現代の私たちは物を買い、物に囲まれた生活こそが、豊かで幸せであると思ってしまいがちだ。しかし、物が増えれば暮らす面積が減り、自由に動けるスペースがなくなってしまう。
いかに多くの物に囲まれていようとも、人はいつか死に、あの世に何一つ持っていけない。唯一持って行くことができる財産は、この世でのエピソードだけだ。生まれてから死ぬまでに経験した出来事、それに対する感情や反省など、人生はエピソードがすべてだ。
物には様々な思い出が詰まっているから、全てを捨てることは難しいだろう。それでも、必要な物と不要な物の分類からでも始めてみてはどうだろうか。
物を手放すことは執着との闘いだ。しかし、これを乗り越えなければ、未練を残したままこの世を去ることになる。「もう不要だ」と思えるものからまず手放してみる。これを定期的なサイクルで行えるようになるとよい。
持たないに越したことはないが、簡単に捨てることができないものは私たちの心の中にもある。それはコンプレックスだ。コンプレックスは、自分と他人を比べ、自分にないものを持っているのが悔しい・腹立たしい・悲しいと思うマイナスの感情からできている。
このコンプレックスを克服する方法がある。それは、「分魂」という意識を身につけることだ。分魂とは、神道の世界では「分け御霊」ともいうが、人間はたった一つの大いなる存在から分け出でたものであること、その存在を示す言葉だ。つまり、私たちはもとを辿れば、同じ一つのものに行き着く。そこから魂として分かれて生まれ、それぞれ自身の人生を送るのが人間なのだ。
言い換えると、私たちは、皆仲間であり、同じ存在であると同時に、異なる存在なのだ。この世では異なった顔・性格などをまとっているが、それは学びを得るために必要な方便にすぎない。
人の活躍を聞くと、嫉妬心や悔しさが芽生えることがある。しかし、皆同じ存在だと思えば、「自分のできないことを、あの人が代わりにやってくれた」と素直に拍手を送り、自分のフィールドで生きることを楽しめるようになる。
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