意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革

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意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革
出版社
出版日
2021年11月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

働き方改革は、国が音頭を取り、各企業や組織によって声高に推進されてきた。しかし、働く人にとっては結局のところ上から「やらされている」ことに過ぎず、本書のいう「働かせられ方改革」に留まっていたのが実情だ。制度や環境が変わっても働きやすくなっていない、これなら改革は必要ない、というのが働く人の本音だろう。

本書の著者が自分の働き方改革を始めた理由は一味違う。それは、「アニメの鑑賞時間を確保したい」という極めて私的な動機からだ。誰に言われるのでもなく、自ら改革を行い、残業をせずにノルマを達成し、アニメを観る時間を確保するという成果を得た。さらに、現在ではコクヨ株式会社で働き方改革プロジェクトのアドバイザーを務めるまでになっている。自らのことを「意識が高くない」と繰り返す著者だが、従来の働き方改革の問題点を指摘する視点は鋭く、極めて論理的だ。

本書がユニークなのは、働き方改革で会社の利益を最大化しようとするのではなく、「私の働き方改革」の成果を、自分の人生の充実と定義し、自分のために自ら働き方を変えようと呼びかけている点だ。著者が時間を作りたい理由は「アニメ」であるが、誰にでも自分の人生で大切にしたい、それに時間を費やしたいという活動があるはずだ。それが私的なことであれ、仕事に関するものであれ、本当にやりたいことに時間を割いて自分の人生を充実させるためならば、誰もが自ずと働き方を工夫したくなるだろう。本書は、そのための様々な具体的なアイデアを提供してくれる。

ライター画像
大賀祐樹

著者

坂本崇博(さかもと たかひろ)
1978年兵庫県西宮市生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、コクヨ株式会社に就職。“効率化"という観点から会議体の工夫、情報管理方法のアドバイスなどを自ら考案し、新規事業として立ち上げる。現在、コクヨ株式会社にて働き方改革プロジェクトのアドバイザーを務めながら、個人でも助言家として、土日を中心に地方自治体などで講演活動を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    働き方改革の本質とは、残業を禁止して早めに帰宅させることや、フリーアドレス、テレワークの導入でオフィス環境を変えることではなく、自分の仕事の仕方を自分で見直し自分で変える「私の働き方改革」である。
  • 要点
    2
    「私の働き方改革」の目標は、会社の業績や給料を上げることではなく、自分の人生を充実させるという成果を得ることだ。
  • 要点
    3
    働く人本人が「私の働き方改革」を実践できるかは、本人のキャラクターの影響が大きい。キャラじゃないからと実行をためらわず、日々行動を起こす必要がある。

要約

人生を充実させる「私の働き方改革」

アニメを観るための働き方改革
AntonioGuillem/gettyimages

著者はアニメ・漫画オタクである。小学生で『らんま1/2』に出会って以来虚構の世界に没頭し続ける学生時代を送り、人と会話する機会がない、アニメ以外の話題もない「コミュ障」になっていた。そんな著者は、今ではコクヨで「働き方コンサルタント」「働き方改革プロジェクトアドバイザー」を名乗りながら、大手企業や官公庁を対象に、ノウハウ提供を行なっている。

著者の働き方が「買われる」ようになったのは、「オタク」だったおかげだ。コクヨに入社し営業職に配属されると、仕事は楽しく残業も苦ではなかった。しかし、問題があった。アニメを観る時間がなかったのだ。日本には観るべきアニメがたくさんある。せめて1日4〜5時間はアニメ鑑賞の時間を取りたいと思うと、18時には会社を出て帰宅しなければならない。

そこで、著者は自分の働き方を変えることにした。商談議事録はオフィスに戻ってからではなく商談しながら作成。エクセルのマクロ機能を使って資料作成時間の短縮も行った。さらに、当時まだ珍しかったウェブ会議を活用して移動時間を軽減し、「会いに行く営業ではなく来てもらう営業」を行うセミナー型集客営業スタイルを実施するなど、様々な試みを実施した。軋轢や失敗もあったが、「自分の働き方改革」の結果、残業を減らしつつもノルマを達成し、アニメ鑑賞時間を増やすという成果を生み出せた。そして、「その働き方をうちの社員にも広めてほしい」と声がかかったのが、働き方コンサルタントになるきっかけだった。

自分で自分の働き方を変えることから始める

日本中で働き方改革がブームになる中、著者の中には変わらぬ信念がある。それは、働き方改革の本質とは、「自分で自分の働き方を変えることから始まる」ということだ。オフィスを消灯して早めの帰宅を促したり、フリーアドレスを導入したり、フレックス制度や副業制度を導入したりして「仕組み」を変えようとするだけでは、本質的に働き方を改革することはできない。自分で自分の仕事を見直し変える、「私のための私による『私の働き方改革』」でなければならないのだ。国や会社・組織の目線に立った改革ではなく、私はどう変わりたいのか、そのために何をすればいいのかを最も重視しなければならない。自分で自分を変えていくことは、それ自体がエンターテインメントとなるだろう。ぜひ、自分の働き方改革を楽しんでもらいたい。

働き方改革は、労働時間の削減ではない

「労働生産性」の罠

2010年代後半以降の「働き方改革」の取り組みは、残業削減や労働時間短縮が中心だった。しかし、当然のことながら、残業を減らしたからといって、仕事の成果が高まるとは限らない。

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要約公開日 2022.03.04
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