事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践

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出版社
出版日
2020年11月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「自社への問い合わせをもっと増やしたいが、何から手をつければいいのかわからない」「集客施策に取り組んできたものの、思ったような成果を得られていない」。そんな悩みを抱えている人にとって、本書は救世主となるだろう。

BtoBマーケティングのプロである著者、栗原康太氏によると、マーケティング戦略の基本は「誰に、何を、どのように伝えるか」。中でもとりわけ重要なのは「誰に」を定めることだという。つまり顧客理解に注力せよということだ。

著者は本書で、顧客理解のために、「顧客への解像度が高い人」をプロジェクトメンバーに加えることをすすめている。こうした人がいるかどうかで、仮説や戦略・施策の精度が大きく変わるからだ。そしてそのうえで、さらに理解を深めるために「顧客の属性」「抱える課題」「実現したいこと」「どういう経路で商品を見つけ、なぜ導入したのか」を把握し、購買プロセスを細かく検討していく。

本書では、BtoBマーケティングプロジェクトの進め方が、著者のクライアント「M社」の事例を用いて指南されている。M社は取り組みの結果、リード数を約30倍に増やしたのだという。M社の取り組みを追うことで、自社のマーケティング戦略のヒントが得られるだろう。またM社以外にも「顧客がWebを使って情報収集していないF社」「モノはよいが知られていないK社」など、これまで著者が支援してきたクライアント企業の事例が満載だ。ぜひ、自社の課題解決につながる事例を探してみていただければと思う。

著者

栗原康太(くりはら こうた)
株式会社才流 代表取締役社長
1988年生まれ、東京大学文学部行動文化学科社会心理学専修課程卒業。
2011年に某IT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げる。その後、事業部長、経営会議メンバーを歴任。
2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。
アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。 本書のほか、共著に『マーケター1年目の教科書』(フォレスト出版)、電子書籍に『BtoBマーケティング虎の巻』(翔泳社)などがある。
Twitterアカウント https://twitter.com/kotakurihara
Facebookアカウント https://www.facebook.com/kota.kurihara
株式会社才流 Webサイト https://sairu.co.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    ターゲットの購買プロセスを把握すると、自社のマーケティング活動の中で「できていること」と「できていないこと」が明確になり、ボトルネックが見つかる。
  • 要点
    2
    継続的に成果を出すために、「短期で結果を追う施策」と「中長期的に取り組む施策」を並行して進めよう。
  • 要点
    3
    施策実行のフェーズでは、定例会議を開催して効果測定の機会を設けることが重要だ。

要約

なぜBtoBマーケティングが重要になっているのか

顧客行動の変化

2010年頃、BtoBの領域では、マーケティング活動よりも営業活動が重視される傾向が強かった。BtoCと違って有効なチャネルが少なく、郵送やFAXによるDM、展示会、業界紙への出稿が主なプロモーション施策だった。

ところが、インターネットの普及によって顧客行動は大きく変わった。米国のコーポレート・エグゼクティブ・ボードが2012年に発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingという調査資料では、「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終っている」という事実が明らかにされている。顧客行動の変化に伴い、私たちは営業・マーケティング活動を変えていかなければならないのだ。

【必読ポイント!】 BtoBマーケティングプロジェクトの進め方

metamorworks/gettyimages
【STEP1】経営課題・戦略に沿ってマーケティング活動の目的・目標を設定する

BtoBマーケティングプロジェクトの進め方について、著者が過去に支援したシステム開発企業、M社の事例をもとに解説していこう。M社は、3年間の取り組みの結果、リード数を約30倍に増やした。

最初のステップは、経営課題・戦略から逆算してマーケティング活動の目的・目標を定めることだ。M社はテレアポを中心としたアウトバウンド施策で商談を獲得し、業界4位についていた。しかしテレアポでリーチできる数には限りがある。業界1位、2位をめざすには、新しい顧客獲得チャネルを開拓する必要があった。

そこで「新しい顧客獲得チャネルを開拓し、業界1位、2位になること」を目標に、マーケティングプロジェクトを開始した。

【STEP2】顧客への解像度が高いメンバーをチームに入れる

経営課題に基づいて目的・目標を定めたあとは、意思決定者ならびに「顧客への解像度が高い」メンバーを交えたチームを編成する。顧客への解像度が高い人とは、「顧客が何を考えているのか」「どんなことが関心ごとなのか」「日頃、どんな形で情報収集を行っているのか」を精緻に理解できている人のことだ。こうした人がいれば、仮説や戦略・施策の精度が大きく上がる。

BtoB企業ならば、商談で顧客と接している営業パーソンや、電話やメールで顧客とやり取りし、ニーズを把握しているインサイドセールスの担当者などに加わってもらうといいだろう。M社のプロジェクトでは、

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要約公開日 2022.04.09
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