現在の日本の世界での立ち位置を考えてみよう。日本のGDP(国内総生産)はアメリカ、中国に次いで世界3位だ。この順位から「日本はまだ先進国だ」と思う人もいるだろうが、経済成長率は先進国の中で最下位であり、政府債務もGDP比では世界3位と最低ランクだ。
スマートフォンなどの多様なデバイスが私たちの日常生活を変えたのに、業務ではいまだに紙や印鑑を必要としている。デジタル行政は明らかに周回遅れだ。
今、日本は世界の潮流から外れ、取り残されている。この「失われた30年」の大きな原因の一つは英語力の欠如だ。1990年代にインターネットが世界に広く普及し、英語圏の情報にアクセスすることが、世界の最新情報を掴む最適解となった。リアルタイムで情報を得るためには、英語力が不可欠なのだ。もし英語でコミュニケーションができるビジネスパーソンをたくさん育成できていれば、世界の潮流をいち早く取り入れ、ここまで経済停滞が長引くことはなかっただろう。
2013年に米グーグルに入社した著者が考える、優秀なビジネスパーソンに共通するスキルは、高いコミュニケーション能力と謙虚さだ。
コミュニケーション能力とはたんに口が上手かったり、プレゼンテーションが得意だったりすることではない。新しい領域でも億劫がらずに学ぶ感性・瞬発力・理解力・咀嚼力、そして理解した後に相手に伝えるためのプレゼン力が複雑に絡み合った能力だ。
また、優れて賢い人ほど、「上には上がいる」ということを理解しており、自分を大きく見せようとすることもなく、謙虚であるものだ。
学ばなければならない局面では自律的に学び、専門外の領域では謙虚に教えを乞う。国境を越えて活躍できる人は、この2つを兼ね備えている。
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