行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術

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行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術
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行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術
著者
出版社
かんき出版

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出版日
2011年06月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

これまで要約者が出会った「できる人」には、「いつまでにどんな行動をすべきかを把握し、行動に移している」という共通点があったように思う。

たとえば英語学習。年始に「今年は英語をマスターする」と抱負を語る人は山ほどいるが、行動に移し、目標を達成する人はほとんどいないだろう。一方で「今年の4月にTOEICで900点を取得する。そのために1月中には単語帳Aに、2月から3月にかけては問題集Bに取り組み、100点が取れるまで繰り返し学ぶ」といったふうに、具体的な目標とアクションを語る人が成果を出せることは、想像に難くない。目標と、それを達成するためにやるべきことの解像度が高いのだ。

高い解像度が求められるのは、部下を指導するときも同様だ。本書では、よくない指導の例として「真心をこめて接客しなさい」が挙げられている。この指示だと部下はどんな行動を取ればいいかわからないし、上司は部下の行動を正当に評価できない。「商品は必ず両手で渡す。そのあとお客様の目を見てから会釈をし、そのまま3秒間静止する」といったふうに、「真心をこめた接客」を言語化し、一つひとつ教える必要がある。

このように本書には、できる人を育てる「教え方」の技術が示されている。「部下のやる気がなく、何度言っても伝わらない」とイライラしている人に、今すぐ手に取ってほしい。具体的で、すぐ実践に移せる「教え方」のアドバイスがいくつも見つかるはずだ。

著者

石田淳 (いしだ じゅん)
社団法人行動科学マネジメント研究所所長。株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。米国行動分析学会(ABAI)会員。日本行動分析学会会員。日本の行動科学(分析)マネジメントの第一人者。
NASA、ボーイングなど600社以上が導入し、アメリカのビジネス界で絶大な成果を上げる人間の行動を科学的に分析する行動分析学、行動心理学を学び、帰国後、日本人に適したものに独自の手法でアレンジをし「行動科学マネジメント」として展開させる。
精神論とは一切関係なく、行動に焦点をあてた科学的で実用的なマネジメント手法は、短期間で8割の「できない人」を「できる人」に変えると企業経営者や現場のリーダー層から絶大な支持を集める。現在は、日本全国の人材育成、組織活性化に悩む企業のコンサルティングをはじめ、セミナーや社内研修なども行い、ビジネスだけでなく教育、スポーツの現場でも活躍している。これまでに指導してきた企業は600社以上、ビジネスパーソンは10,000人以上に上る。
本書は、以前より各方面から要望が多かった石田流「教え方」をまとめたもの。行動科学マネジメントと本人の実体験をもとに人材育成の基本メソッドを紹介した。
主な著書に『短期間で組織が変わる行動科学マネジメント』(ダイヤモンド社)、『会社を辞めるのはあと1年待ちなさい』(マガジンハウス)、『組織が大きく変わる「 最高の報酬」』(日本能率協会マネジメントセンター)、『超! 部下マネジメント術』(インデックス・コミュニケーションズ)などの組織マネジメント本の他に、セルフマネジメントの指南書としてベストセラー『続ける技術』(フォレスト出版)、『すごい実行力』(三笠書房)、『行動科学で人生が変わる』(フォレスト出版)など多数ある。
http://www. will-pm.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    うまく教えるためには、まずは教える内容を「知識」と「技術」に振り分けることが大切だ。
  • 要点
    2
    どんな業種・職種の仕事も、いくつもの行動から構成されている。行動を一つひとつ分解し、やるべきことを細かくかみ砕いて、わかりやすく伝える必要がある。
  • 要点
    3
    指示するときは、「MORSの法則」を参考に、内容をできるだけ明確かつ具体的に表現するとよい。
  • 要点
    4
    部下に望ましい行動をさせるためには、ほめることが欠かせない。

要約

「教える」前に心得ておいて欲しいこと

問題解決のカギは「心」ではなく「行動」にある

部下が成果を上げられていないとき、上司は「根性が足りない」「仕事に対する情熱が欠如している」と、その原因を本人の「心」に求めがちだ。だが、そう考えている限り改善は見込めない。問題解決のカギは「心」ではなく「行動」にある。

著者が提唱する「行動科学マネジメント」では、まず対象となる人の「行動」を観察・分析する。観察・分析の結果、相手が望ましい行動をしていることがわかれば、その行動をさらに実行し続けるように仕向ける。もし間違っていれば、正しい行動に置き換えるための仕掛けを施す。

心理学や精神医学などの専門知識を持たない多忙な上司が、部下や後輩の「心」を正すのは難しいものだ。それよりもまずは「行動」に目を向け、「行動」を改善させるほうがずっと簡単である。

【必読ポイント!】 部下のためにできることは

教える内容を「知識」と「技術」に分ける
gettyimages/chachamal

「教える」とは、相手から“望ましい行動”を引き出す行為だ。うまく「教える」ためには、思いついたことをそのまま口にするのではなく、教える内容を「知識」と「技術」に振り分けることが大切だ。

たとえば、ボーリング初心者にボーリングを教える場合。「知識」にあたるのは、投球のマナーやゲームの基本ルール、ボールの選び方、ボールの回転と軌道の関係性、スコア表の記号の意味などだ。一方、教えるべき「技術」には、ボールの持ち方や助走の仕方、投球フォーム、ボールのコントロール法などが該当する。知識は聞かれたら答えられること、技術はやろうとすればできることと考えればいいだろう。

教える内容を「知識」と「技術」に分けると、指導手順の決定や、教えるべき範囲の見極めがしやすくなる。また指導がうまくいかなかったときにも、「技術が未熟なのか、それとも知識が不足しているのか」という観点からチェックできる。その結果、原因が見つけやすくなり、補強すべきポイントが見つかるはずだ。

できる人の仕事ぶりを徹底的に「分解」する

どんな業種・職種の仕事も、多くの「行動」から構成されている。教える行動を一つひとつ分解して、時系列で書き出してみよう。そして、子どもを初めておつかいに行かせるときのように、やるべきことを細かくかみ砕いて、わかりやすく教えるようにする。

分解の対象にするのは、その仕事で優れた成果を出している社員の行動だ。たとえば営業なら、TOPセールスの行動を書き出してみる。朝は何時に出社して始業時間までの間に何をしているか。顧客に電話をかけるとき、最初に何と挨拶しているか。担当者が不在のときはどんな伝言を残しているか。営業用カバンには何を入れているか。アポイントの時間より何分早く訪問先に到着しているか。名刺を渡しながら喋る内容はどんなものか。初対面の担当者に対して最初にどんな話題を投げかけているか。訪問の記録はどのように残しているか……。TOPセールスの行動を完璧に真似るには、これくらい細かく分解しなければならない。

そうやって書き出したものは、その仕事の「チェックリスト」として使える。上司は、リストを参照しながら「ここはよくできているよ。あとはここを重点的に練習しよう」と指導すればいい。

部下の知っていること、できることを把握する
fizkes/gettyimages

チェックリストができたら、

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要約公開日 2022.04.12
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