全米トップ校が教える自己肯定感の育て方

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出版社
朝日新聞出版

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出版日
2022年03月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

あなたは「自己肯定感」が高いほうだろうか。「そもそも自己肯定感って何?」と疑問を抱いている人もいるだろうし、「自己肯定感は生まれつきのものだから、上げようがない」と思い込んでいる人もいるかもしれない。「ヘコんだときは、自己肯定感が大きく下がってしまう」という人も多いだろう。

本書は、最新の心理学・脳科学的アプローチによって自己肯定感を解剖するとともに、自己肯定感の育て方を紹介する一冊である。著者はスタンフォード大学・オンラインハイスクールで校長を務める星友啓氏だ。「自己肯定感って何?」「くよくよとマイナスに考えてしまう性格をどうにかしたい」「仕事や人間関係でヘコんだとき、ポジティブな気持ちを取り戻すにはどうすればいい?」などといった、自己肯定感にまつわるよくある質問に答えてくれている。

私たちは日々、他者を気にしながら生きている。人を羨んだり、愚かな自分を悔いたりすることもあるだろう。それでも確かなのは、どんな自分でも、この自分で一生を過ごさねばならないということだ。一度きりの人生をより良く生きるには、今の自分を丸ごと受け入れてありがたく思う必要があるのではないだろうか。著者は本書で、この心こそが「自己肯定感」であるという。

本書では、日常生活で実践できる、自己肯定感を上げる方法が多数紹介されている。できそうなものから試してみて、自己肯定感を育てていってはいかがだろうか。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

星友啓(ほし ともひろ)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学の講師を経てオンラインハイスクールの立ち上げに参加。2016年より校長に。オンライン教育の世界的リーダーとして活躍。
公式サイト/https://tomohirohoshi.com

本書の要点

  • 要点
    1
    自己肯定感の定義には様々ある。求めるべき自己肯定感とは、自己受容と自己価値、つまり「現実の自分をありがたく思う気持ち」である。
  • 要点
    2
    ヘコんでしまったとき、心を立て直すには、「ヘコみの外で自己肯定する」のが有効だ。仕事でヘコんだなら、家族との触れ合いの中で自己肯定すればよい。
  • 要点
    3
    ネガティブな気持ちのとき、誰かに相談するのは逆効果になりかねない。「ABCDEモデル」を利用し、自分と向き合うのがおすすめだ。

要約

自己肯定感って何?

自己肯定感を高めるために、やってはいけないこと

私たちがよく思い浮かべる「自己肯定感の高い場面」は、テストでいい点を取った、給料が上がった、上司や家族に褒めてもらったなどといったものだろう。要するに、他人との比較によって高い評価を受ける場面である。

これらは「外発的な報酬」と呼ばれる。自分が勉強や仕事をすること自体で得られる「内発的」な満足感とは対照的に、結果としてついてくる「おまけ」の報酬だ。外発的な報酬は短期的には自己肯定感を高めてくれるが、長期的に依存すると心身に悪影響を及ぼす。

例えば、お金による動機付けの強い人は、長期的には総合的な自己肯定感が低くなりがちで、うつや不安を抱えやすい。ステータスや見た目にこだわる場合も同様で、頭痛や肩こりなどといった身体的な問題が起こったり、人間関係の問題が生じたりすることがある。外発的な報酬によって自己肯定感が上がっても、長期的にみると逆効果なのだ。

ネガティブな気持ちを無理やり抑え込んだり、忘れようとしたりするのも逆効果だ。ハーバード大学などの研究では、自分の気持ちを抑え込みがちな人は死亡リスクが30%高まり、癌になる確率も70%上がると報告されている。

自己受容と自己価値
Ivan Nadaski/gettyimages

では、求めるべき自己肯定感とはどのようなものか。それは「現実の自分をありがたく思う気持ち」である。この定義には、「自己受容」と「自己価値」という2つの心理学のコンセプトが組み合わされている。

「自己受容」とは、ありのままの自分をそのまま受け入れる力をいう。「自己受容」ができる人は、精神的に安定していて、幸福感が高いことがわかっている。

「自己価値」とは、現実の自分を「ありがたく」思う気持ちで、「自尊心」にも似ている。例えば「仕事でヘマをしてしまったが、また頑張ろう。立ち直りの早い自分のメンタルはありがたい」「成績が悪くスキルもないが、目標に向かってもくもくと取り組む自分が誇らしい」といった具合だ。自己価値を感じている人はメンタルが強く、勉強や仕事の業績も上がるという報告がある。

自尊心の高い人とナルシストの違い

「自尊心の高い人はナルシストではないか?」という意見もあるだろう。しかし最近では、ナルシストと自尊心の高い人はちがうという見方が主流だ。

ナルシストは自分が他人より特別で優れていると感じる人で、それに応じた承認や尊敬を得ようとする。一方、自尊心の高い人は、自分が自分であること自体に価値を認めており、他人との比較や優越感によって承認欲求を満たそうとしない。これが両者の決定的な違いである。

ナルシストは人を見下したり横柄な態度をとったりするため、人間関係でつまずきやすい。一方、自尊心の高い人は往々にして幸福感が高く、心身ともに健康であることが多い。

【必読ポイント!】 ヘコんだとき、ポジティブな気持ちを取り戻すには?

ヘコみの外側で自己肯定をする

ヘコんだとき、どう心を立て直すか。この答えの一つが「自己肯定理論」だ。自己肯定理論の中心にあるのは「ヘコみの外で自己肯定する」という考え方である。

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要約公開日 2022.04.18
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