みなさんは、何味のうまい棒がお好きだろうか?
人気のスリートップは、やはり「めんたい味」「チーズ味」「コーンポタージュ味」だそうだ。ちなみに、子どもには「コーンポタージュ味」が一番人気だとか。
うまい棒は現在18種類。毎年1~2種類の商品が加わるが、反応がよくなければ、リスクを抑えるため1年以内に製造終了となるものもある。
しかし、最初はこんなにたくさんの種類を販売するつもりはなかったという。うまい棒が発売された当初は売上の波が激しく、一時的に人気が出た商品が下火になると、機械を使わない時間が増えてしまった。その無駄をなくすために、別の味の商品を作ることにした。機械をフル稼働させて、たくさんつくることで、単価の安さを保ちながら、注文と供給のバランスを探っていったそうだ。
うまい棒には、「シュガーラスク味」「牛タン塩味」「エビマヨネーズ味」など、個性的な味が多くある。「サラミ味」は、お酒の席でサラミのオードブルが出てきたことがきっかけで開発されたそうだ。オフの時間だからこそ思いつく、漁夫の利ならぬ「オフの利!」とは、本書の語り手うまえもん(仮)の言である。
そうしたアイデアは、短期的な商品にならないように、味にこだわって形にされる。「大切なのは、1本だけ食べてもらうのではなく、1本食べ終わったあとに理屈抜きにもう1本食べてもらえる味かどうか」だという。
10円のうまい棒は、子どもたちが、「親から渡されたものではなく、自分で選んで自分で買えるものを」「100円のスナックを買うぐらいなら、うまい棒を10本買ったほうが楽しいと思ってもらえるように」と考えられて誕生した。
発売から35年、原材料のとうもろこしの値上がりにもめげず、消費税アップにも屈せず、「10円」を守り続けている。
そのためには、単純にコストを下げて儲けるという方策はとらなかった。いいものをつくるため、原料メーカーとも資材メーカーとも協力して、たくさん原料を買うぶん安くしてもらったり、フィルムや段ボールを量産できる体制を整えてもらったりして対応していった。
一方で、味や品質を向上できるポイントがあれば、そこにはむしろコストをかけている。
たとえば、うまい棒には穴が空いている。
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