本書の要点

  • 習慣化タイプメソッド「童話マトリックス」では、人の行動パターンを「うさぎタイプ」と「かめタイプ」、人の動機パターンを「アリタイプ」と「キリギリスタイプ」に分類する。タイプによって行動・動機パターンに違いがあり、習慣化のポイントも違う。

  • 習慣化には、「小さく始める」「行動を条件づけする」などといった技術がある。習慣化をうまく進めるためには、自分に合った技術を選び、活用することが重要だ。

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性格タイプで続け方は変わる

「童話マトリックス」とは

提供/ ディスカヴァー・トゥエンティワン

「うさぎとかめ」の教訓は「かめのようにコツコツ努力すること」、「アリとキリギリス」の教訓は「アリのようにリスクに備えること」である。物語の中で、うさぎとキリギリスはネガティブに描かれている。多くの人の習慣化をサポートしてきた著者は、「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」に象徴されるタイプをたくさん見てきた。うさぎのように「物事を一気呵成にスピード力でこなす人」、かめのように「計画的にコツコツと行動を積み重ねる人」、アリのように「リスクに備えて、やるべきことを前倒しでこなす人」、キリギリスのように「好きなことに熱中して取り組める人」。そこに「違い」はあれど「差」はない。習慣化を成功させるには、それぞれのタイプが持つ長所を活かし、短所を改善すればいいだけだ。そこで著者は、「うさぎとかめ」から「人の行動パターン」を、「アリとキリギリス」から「人の動機パターン」を見出して、習慣化タイプメソッド「童話マトリックス」を開発した。童話マトリックスは、縦軸に行動タイプ、横軸に動機タイプをとり、4つのタイプに分けて習慣化に活かす性格分析だ。4つのタイプには「うさアリ」「うさギリス」「かめアリ」「かめギリス」という名前をつけた。タイプによって行動・動機パターンに違いがあり、習慣化のポイントも違う。

4つのタイプの特徴

まず、行動傾向の異なる「うさぎタイプ」と「かめタイプ」を解説しよう。うさぎタイプとかめタイプの違いは、夏休みの宿題でみるとわかりやすい。「まとめて一気にやりたい派」がうさぎタイプで、「分散してコツコツやりたい派」がかめタイプだ。次に、動機傾向の異なる「アリタイプ」と「キリギリスタイプ」。夏休みの宿題の例では、「前倒しで終わらせる派」がアリタイプ、「ギリギリになってから終わらせる派」がキリギリスタイプだ。次からは、各タイプの概要を紹介する。

うさアリタイプ

うさアリタイプは、やるべきことを前倒しで完成させ、抜け漏れなく仕事を実行できるタイプだ。課題は、「早くタスクを完了させたい」という衝動や不安、焦りから、心理的に疲弊したり、休みがとれなかったりすること。完璧を求めすぎず、大切なことや重要なことに時間を使えるよう意識してほしい。

うさギリスタイプ

うさギリスタイプは、好きなことに対する爆発的なモチベーションと圧倒的行動力が強みだ。また、アイデアが豊富で、新しいことを企画したり、立ち上げたりするのが得意である。課題は、熱しやすく冷めやすいこと。嫌なことや苦手なことは先延ばしにし、期限ギリギリにならないと着手できないことが多い。苦手なことは潔く手放し、好きなことにだけ集中するとパフォーマンスが高まる。

かめアリタイプ

かめアリタイプは、自己管理が得意だ。計画性があり、気分やモチベーションに左右されることなく、タスクや課題をコツコツとこなす。課題は、考えすぎて動けなくなったり、変化を求められる環境下ではストレスを感じやすかったりすること。かめアリタイプの中でも「表に出て派手に立ち回りたくない」傾向の強い人は、自分の強みを活かして、縁の下の力持ちを目指すといいだろう。

かめギリスタイプ

かめギリスタイプは、好きなことやわくわくすることがモチベーションとなり、コツコツ継続するのが苦にならないタイプだ。実現まで時間はかかるが、夢に向けて地道に行動を続けられる。課題は、先延ばしストレスを常に抱えていること。「苦痛」「嫌」「めんどう」「できない」となると、行動が止まってしまう。大きな仕事や複雑なタスクは分解して進めるなど、先延ばし対策ができるとよい。

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【必読ポイント!】 自分を整える「自己管理」の習慣

「自己管理の習慣」と「自己実現の習慣」

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人生を変える習慣には、「自己管理の習慣」と「自己実現の習慣」の2つがある。自己管理の習慣とは、自分や生活を整える、早寝早起き、節制、定期的な運動、お金の管理などのこと。自己実現の習慣は、勉強や読書、自己研鑽や目標達成など、未来に向けた自己投資や自己向上の習慣だ。

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要約公開日 2022.06.16
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