人間は誰もが希望を持っている。しかし、明るくニコニコしていたいという希望があっても、なにかがあれば怒ってしまう。「決して怒らない」と心に決めても、怒ってしまうのはなぜだろう? その理由は、生命は生まれつき怒っているからだ。生きている限り、人間は怒っているものなのだ。
生命にはかならず怒りがある。怒りが発生する原因は「無常」である。無常の定義は「ものごとは瞬間、瞬間で変化し、生滅していく」ということだ。私も他人も世界もすべては無常であり、変わり続けている。この「変わり続けている」ことが、怒りを生む原因である。
では、なぜ無常が怒りの原因になるのだろうか? 人は良い知らせを聞いたときや、欲しかったものが手に入ったときに気分が良くなる。これは、なにかの条件によって気分が良くなっているということだ。しかし、良い気分をもたらした条件はすぐに変わってしまう。「今日は笑顔で過ごしたい」と思っても、実際に何が起こるかはわからない。私たちは常に環境に接して生きていかねばならず、それは自分では管理できない。環境が思い通りでない場合は、その環境に抵抗する気持ちが生じて拒絶反応が起こる。この拒絶反応が「怒り」なのである。
命とは「感覚があること」である。物質と生命を区別するのは「感じるか、否か」であり、「感覚の有無」である。たとえば、ケガをしたら体は自然に治ろうとする。この「自ら修復しようとする」機能は生命だけにあり、「感覚がある」からこその働きである。
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