創造力を民主化する

たった1つのフレームワークと3つの思考法
未読
創造力を民主化する
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たった1つのフレームワークと3つの思考法
未読
創造力を民主化する
出版社
出版日
2022年03月30日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

今は環境の変化が速く、予測が難しい時代になった。AIなど、これまで人間が行ってきた仕事を代替しうる技術も開発されている。 以前うまくいっていた方法が、これからもうまくいくとはいえない状況になりつつある。

その流れにおいて、創造力の重要性がより強調されるようになった。しかし、自分にはそんな感性はない、創造性といっても何をどうすればよいかわからない、と戸惑ってしまう人も多いのではないか。

本書は、誰でも後天的に創造的に思考できる方法を体系的に示したものだ。1つのフレームワーク(物事を「課題」と「解決方法」で分解し、さらに「課題」をWho、Where、Whenに、「解決方法」をWhatとHowに分ける)と3つの思考法(統合思考、アナロジー思考、転換思考)を利用することで、発想をより効率的に、より遠くへと飛ばせるようになる。

フレームワークや思考法というと、抽象的で使いこなすのが難しいという印象をもつかもしれない。しかし、本書は身近な事例を多く示し、思考の過程が段階を踏まえて具体的に描かれている。課題と解決方法を構成要素に分解し、統合思考、アナロジー思考、転換思考を使っていままでの思考の枠を超える。一見すると大変そうだが、すぐに自分の身近なものに応用したくなる手軽さが特徴だ。

安心して扉を開いてみよう。創造性とは生まれつきのものだ、自分にはセンスがない、どうすればクリエイティブになれるかわからないと思っている人こそ、ぜひこの本を手にとってほしい。

ライター画像
中崎倫子

著者

永井翔吾(ながい しょうご)
VISITS Technologies株式会社エグゼクティブ・ディレクター。
1986年生まれ、埼玉県出身。2012年慶應義塾大学大学院法務研究科を修了し、同年、司法試験と国家公務員総合職試験に合格。2013年経済産業省に入省。主に、知的財産政策や法律改正業務に携わる。その後、ボストン コンサルティング グループに入社し、大企業の新規事業立ち上げや営業戦略等のプロジェクトに従事。2016年、創業期の株式会社VISITS WORKS(現 VISITS Technologies株式会社)にジョインし、現在は、デザイン思考テスト事業の責任者。誰もが自らの人生をワクワクしながら生み出し続ける「創造社会」を創ることをミッションに活動している。3人の子供の育児にも奮闘中。

本書の要点

  • 要点
    1
    創造力は誰でも後天的に伸ばせる。
  • 要点
    2
    1つのフレームワーク(「課題」×「解決方法」)上で、3つの思考法(統合思考、アナロジー思考、転換思考)を組み合わせ、発想を広げる。
  • 要点
    3
    統合思考は、さまざまな課題やトレードオフの課題を同時に解決する思考法だ。
  • 要点
    4
    アナロジー思考は、類似する事柄を結びつけ、新しい発想をしたり、理解を深めたりする考え方だ。
  • 要点
    5
    転換思考は、先入観や思い込みを捨て、新しい視点で捉える方法だ。常識を真逆にひっくり返し、物事をずらして捉える。

要約

【必読ポイント!】 誰でも創造的になれる

1つのフレームワークと3つの思考法

創造力は、1つのフレームワーク(「課題」×「解決方法」)と3つの思考法(「統合思考」「アナロジー思考」「転換思考」)で、誰でも後天的に伸ばせる。このフレームワーク上で3つの思考法を組み合わせ、発想を無限に広げられる。

創造的に考える4つのステップは以下のとおりだ。

第1ステップでは、物事を「課題」と「解決方法」に分解する。課題は、さらに、Who(どんな人が)、Where(どんなところで)、When(どんなことをしているときに)、の3つに分解される。その組み合わせで作られるシーンにおいて、課題(Why)は発現する。解決方法は、What(何を使って)とHow(どのように)の組み合わせによって決まる。

第2ステップでは、統合思考と転換思考で課題を特定する。あるいは、アナロジー思考で解決方法のヒントを得る。

第3ステップでは、解決方法の側で「3つの思考法」を用い、まだ組み合わせていない既存の解決方法を探索して、特定する。

そして最後に、課題と解決方法を組み合わせる。

創造力とは繋ぐ力だ
wildpixel/gettyimages

創造力とは無から何かを生み出すのではなく、既存のいろいろなものを繋ぐ力である。

ベースとなる課題や解決方法も既存のものでよい。既知の解決方法とこれまで結びつかなかった課題が新しく結合することで、創造的なアイデアが生まれる。すでにある課題に対して、これまで組み合わせたことのない解決方法を持ってきた場合も同じだ。

なかでも、既存の課題に、既知だがその課題とは組み合わされていない方法を結びつけるパターンが、もっともアイデアを出しやすい。

課題ドリブンは基本路線だが、解決方法から考え始めても間違いはない。重要なのは「新しい組み合わせを探すこと」「そこにちゃんと『解決したい課題』があること」だ。

統合思考

本質的な課題の見つけ方

統合思考には2つある。1つ目は、複数の課題を抽象的に捉え、一気に解決する方法だ。2つ目はトレードオフ関係にある課題を見つけ、両方をまとめて解決する方法だ。ポイントは「課題を抜本的に捉え直すこと」である。

本質的な課題を見つけるのに重要なのは、「楽をしたい」「みんなに認められたい」といった本能的な欲求である「本源的欲求」と、「手軽に食事をしたい」「会社で表彰されたい」といった特定のシーンで発現する具体的な欲求としての「ニーズ」を区別し、その違いを意識することだ。

本源的欲求を考えるメリットは、幅広い発想ができ、より多くの人の共感を得て、多くのニーズを一気に解決できる方法を導き出せることだ。

しかし、本質的欲求から具体的な解決方法を考えるのは難しいときもある。そこで、本質的欲求にちょっとずつ近づける(抽象化する)ことで最適な課題を特定するとよい。

課題の具体性は、シーン(具体的な場面)を構成するWho、Where、Whenの抽象化の度合いで調整する。「疲れずに階段を上ってスーパーの2階に行きたい」というニーズを考えてみよう。

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要約公開日 2022.08.20
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