Webマーケティングは、リアルマーケティングと違って、売り場に限りはなく、コミュニケーションコストも劇的に低くて済む。当然、今までのマーケティング戦略は通用しない。
Webマーケティングは、「ファンダメンタルズ」と「テクニカル」に分けられる。ファンダメンタルズマーケティングとは、商品そのものやユーザーのペルソナ(典型的なユーザー像)、インサイト(購買要因)などを分析してコミュニケーションを設計することだ。
一方テクニカルマーケティングとは、CTR(Web広告のクリック率)や購入サイトへの遷移率、購入率、検索キーワードなどの数値的なフィードバックデータから、顧客とのコミュニケーションを設計することである。
ファンダメンタルズとテクニカルの両方をマスターすべきであり、テクニカルの領域はファンダメンタルズの領域の一部だということはしっかり押さえておく必要がある。
ところが、Webマーケティングの世界ではテクニカルを偏重する傾向がある。最たるものが、思いつきのABテストで生き残ったものを正解とすることなどだ。真のマーケッターはまず、無数の選択肢からAやBを厳選した上でABテストを行うし、答えにしっくりこなければAとB以外のXという選択肢を探す。
とはいえ、たとえ商品やサービスに対する知識が浅くても、テクニカルマーケティングの手法だけで結果を出せることがある。そういったケースに当たった人は、テクニカルマーケティングが万能だと思い込み、ファンダメンタルズの土台に乗っていることを忘れてしまう。すると、「商品自体は良いものであるが、情報収集やコンセプトワークの部分が間違っている」といった重要なことを見逃すのだ。
「マーケティングの原理原則がわかっていないWebマーケティングは、ただのデジタルオペレーションに成り下がる」。それはAIの仕事になりつつある。
Webマーケティングの初心者はまず、広告制作などのクリエイティブが「誰に」「何を」「どう」伝えるかという3つの要素で構成されていることを知ろう。
「誰に」(ターゲットユーザー)と「何を」(その商品でしか言えない強み)が明確に決まっていれば、ストレートな表現でもユーザーの心に刺さる。「何を」が弱い場合は「どう」(表現方法)を工夫することになるが、これは市場を広げるだけで、自分の商品の売れ行きにはあまり寄与しない。「誰に」「何を」を外していたら、「面白い広告だけど、その商品に興味はない」で終わってしまう。
必要なのは、商品・ユーザー・競合を徹底的に調査し、その商品「だけ」に言える強みを見つけ出すことだ。
「マーケッターは商品企画者や商品開発者からもらった情報をそのまま消費者に伝えるのではなく、自分自身で情報収集をし、『売り』となる部分を再構築しなければならない」。
「誰に」を設定するために、「ニーズ」の強さを段階的に分類する方法がある。ここでいう「強さ」とは「ユーザーの悩みや痛み」のことだ。たとえば美容系の商品であれば「対策の必要性に気づいていない」段階から、「対策を検討し始めている」段階、「お気に入りを見つけてはいる」段階、「色々試して結局満足できていない」段階など、どの状況にあるかで、商品の「何を」アピールするかが大きく変わる。
ほかにも、「そのジャンルの商品を知らない」段階から、「そのジャンルの商品が好きでいろいろ試したい」といった、商品との距離感によって分ける方法もある。
「何を」伝えるかは、USP(Unique Selling Proposition)、すなわち「その商品やサービスが持っている独自の強み」から導きだすとよい。
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