コンピューターの誕生は1940年頃、第2次世界大戦中とされている。アラン・チューリングは、エニグマという難解な暗号を解読するプロジェクトを通じて、コンピューターの原型を生みだした。それをジョン・フォン・ノイマンが受け継ぎ、コンピューターは実用化の道をたどっていった。冷戦時代に入り、貴重で大型なコンピューターリソースを遠隔地でも利用すべく、ネットワークを構築し分散して管理する手法が提案されることとなる。そして1969年、米国の4つの拠点をつなぐARPANET(アーパネット)が稼働し、それがインターネットの原型となる。1990年には、World Wide Web=WWWが発明された。生みの親であるティム・バーナーズ=リーは、「インターネットは万人のものであるべきだ」という理念を掲げ、WWWに関する特許を保有せず、WWWを誰でも利用可能にした。
その後デジタル技術は進化を続けていく。コンピューターの普及と性能向上、通信技術の洗練によって、産業構造も変化していった。そのなかで、2005年にはWeb2.0という言葉が提唱された。Web2.0の特徴は、デジタル技術の発展によって活発な情報交換が行われ、さまざまなデータを群衆の力で構造化し文脈化している点だ。
インターネットもWWWもオープンソースであり、多くのイノベーションを生んだが、商業化が進むにつれパワーバランスが企業側に偏りつつある。GAFAMなどの巨大プラットフォームによるデータ独占やプライバシー問題などはインターネットサービスの影といえる。
インターネットは現代社会に不可欠のインフラとなったが、多くの課題も生んだ。そこに楔を打ち込んだのがサトシ・ナカモトの論文だ。その論文では、特定の主体だけがデータを処理しなくてもよい状態を構築するための具体的アイデアが提案されていた。これをもとに2009年にはビットコインが稼働しはじめ、人類はブロックチェーンを手に入れた。そして2014年、汎用的なプラットフォームを目的にしたイーサリアムが公開され、現在世界で最も利用されるプラットフォームの1つとなっている。
ブロックチェーンは独占やプライバシーの課題を解決する可能性を秘めている。なぜなら、企業がおこなっていたデータ処理をインターネット上で可能にしたからだ。このブロックチェーンによる一連の変化やトレンドをWeb3と呼ぶ。Web3ではユーザーのデータはインターネット上にあり、そのコントロールもユーザー自身が握っている。
Web3によって社会はどう変化していくのか。重要なことは、シェアリングエコノミーからオーナーシップ型エコノミーへと価値観が変わるという点である。
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