売上の地図

3万人を指導したマーケティングの人気講師が教える「売上」を左右する20のヒント
未読
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3万人を指導したマーケティングの人気講師が教える「売上」を左右する20のヒント
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売上の地図
出版社
出版日
2022年06月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

商品開発、営業、広告宣伝にリサーチ業務――。大企業では売上獲得のために多くの社員がさまざまな部署で働いている。しかし自分たちの仕事ぶりが、どれだけ売上に影響しているか、「定量的に測定できている」と、自信を持って言える人はどれだけいるだろうか。

顧客や市場の反応をリアルに感じられず、仕事と成果のつながりが見えない職場では、社員がやる気を持ち続けることは難しいだろう。しまいには「どうして売れないのかわからない。どうすれば売れるのかもわからない」と思い悩み、仕事の意味さえ疑い始めてしまう人も出てきてしまいかねない。

問題の根幹は、目的変数である売上と、説明変数である無数の施策との間が、すっぽりと抜けてしまっていることにあると著者は言う。そこで一つ一つの売上増の施策を、単体としてではなく、売上の全体像と仕事同士のつながりを整理した「地図」として見直そうと提案する。自分たちの仕事がどうつながっているかがわかると、不安がなくなり、頭の中も整理でき、打開策のヒントも見えてくるはずだ。

著者は本書で「売上は奥が深い」と繰り返す。全てのビジネスが目指す売上獲得というゴールまで、幾重もの壁や荒波が立ちはだかる。阻まれて進路の見当がつかないように思えても、大局的に全体が見渡せれば、自分が担う業務の位置付けや意義がきっと見いだせる。本書はそうした理解を助ける鳥観図の役割を果たしてくれるだろう。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

池田紀行(いけだ のりゆき)
株式会社トライバルメディアハウス
代表取締役社長
1973年横浜生まれ。マーケティング会社、ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。大手企業のデジタルマーケティングやソーシャルメディアマーケティングの支援実績を持つ。宣伝会議、JMA(日本マーケティング協会)マーケティングマスターコース講師。『次世代共創マーケティング』(SBクリエイティブ)、『ソーシャルメディアマーケター美咲』『Facebookマーケティング戦略』(翔泳社)、『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』(アスキー・メディアワークス)など 著書・共著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    売上に影響を与える主要因の構造を「地図」として理解し、全体像を俯瞰して効果的・効率的な売上を目指そう。
  • 要点
    2
    現代の商品・サービスの価値の本質は、機能から情緒と自己実現のベネフィットに転換している。
  • 要点
    3
    「第一想起」ブランドになるために、既存顧客のクチコミで新規顧客を獲得するループを回す。
  • 要点
    4
    世の中ゴトと仲間ゴトを組み合わせ、自分ゴト包囲網をつくり、最愛のブランドポジションを目指す。
  • 要点
    5
    目的の達成度合いである「KGI」を明確にし、売上に影響を与える「入力」に焦点を当てよう。

要約

売上の地図の必要性とその見方

売上向上には「地図」が必要

大企業には長い歴史があり、ブランドがある。商品点数が多く、広告やPRが同時に展開される。認知度、興味、好意度、商品をおく棚。大企業の売上には、数多くの要因が絡んでいる。

本書は「実施した施策が、売上にどう寄与したか」という従来型のプロセスではなく、売上(目的変数)はどのような要因(説明変数)で上下動しているのかを解明し、要因の構造化に挑む。売上に影響を与える主要因の構造を明らかにし、最短距離で目的地に到達するための「地図」を提供することが、本書の目的だ。

大航海時代、アメリカ海域へ初めて到達したコロンブスは、一級の地図製作者としても成功をおさめていた。著者は、本書がマーケティング業務の「地図」となり、効果的・効率的に売上を向上させるヒントになると期待している。

売上を決める「2つのしやすさ」
出所:梅澤伸嘉『消費者は二度評価する』(『売上の地図』23p)

マーケティングのゴールを「買ってもらうこと」と単純化すると、重要な要素はブランド想起のされやすさ(メンタルアベイラビリティー)と、買い求めやすさ(フィジカルアベイラビリティー)の2つに集約できる。

「お茶を飲みたい」と思った時に、頭の中でサントリーの伊右衛門が思い浮かんだとする。これが第一想起だ。飲むためには購入する必要がある。大抵のコンビニに伊右衛門は置いてあるため、いつでもどこでも買える。伊右衛門が売れている理由は、両方の要素が高い状態で保たれているからだと言える。

「消費者は二度評価する」。こう提起したのは、商品開発に関するグループインタビューの礎を築いた梅澤伸嘉氏だ。「買う前に買いたいと思わせる力」をコンセプト力、「買ったあとに買ってよかったと思わせる力」をパフォーマンス力とし、この2軸で新商品の売上パターンを4象限で表現できる。売上にはトライアル購入とリピート購入がある。コンセプト力がトライアル購入、パフォーマンス力がリピート購入を規定する。

コンセプト力が強く、パフォーマンス力が弱いと、トライアルで購入したものの、期待外れでリピートでの購入が起こらない。コンセプト力もパフォーマンス力も強い、右肩上がりの理想的な売上はごく一部に限られる。

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要約公開日 2022.08.28
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