絶対悲観主義

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絶対悲観主義
絶対悲観主義
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絶対悲観主義
著者
出版社
出版日
2022年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書はなんとも不思議な本だ。「絶対悲観主義」というタイトルからは想像もしていなかった読後感を得た。肩の力が抜けて「明日からも楽しく生きていくぞ!」と思わせてくれたのだ。

本書で提唱されている「絶対悲観主義」とは、何かに取り組む際に「まあ、うまくいかないだろう」と期待値を下げつつも「とりあえずやってみるか」と気楽に行動してみるスタンスのことである。絶対悲観主義を取り入れると、力が抜けて、新しい取り組みにチャレンジしやすくなる。

著者、楠木建氏も本書で言及しているが、現代では「頑張る」「成功する」ことに至上の価値が置かれがちだ。ただこうした風潮は、チャレンジの足かせになっているのではないだろうか。「頑張って当然」「成功して当然」と身構えていると、挑戦のハードルは上がり、アクションしづらくなってしまう。さらには「成功しなければならない」というプレッシャーにより、緊張してしまい、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまうこともあるはずだ。

だからこそ「たぶん失敗するだろうけど、とりあえずやってみよう」という絶対悲観主義的なマインドセットを身につける価値がある。そうすればきっと、肩の力を抜いてチャレンジできるようになり、楽しく愉快に生きられるだろう。絶対悲観主義とは、絶対楽観主義の裏返しとさえいえるかもしれない。

著者

楠木建(くすのき けん)
1964年東京生まれ。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。一橋大学イノベーション研究センター助教授、ボッコーニ大学経営大学院(イタリア・ミラノ)客員教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授などを経て、2010年より一橋ビジネススクール教授。著書に『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』『「好き嫌い」と経営』(以上、東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(プレジデント社)、『室内生活 スローで過剰な読書論』(晶文社)、『逆・タイムマシン経営論』(共著、日経BP社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    絶対悲観主義では、仕事の種類や性質、状況にかかわらず、「うまくいかないだろうな」と悲観的に構えておく。
  • 要点
    2
    絶対悲観主義を採用すると、失敗が気にならなくなり、仕事に対して気楽に向き合える。たまにうまくいったときに幸せな気持ちになれるのもメリットだ。
  • 要点
    3
    自分が幸せかどうかを決めるのは、世間ではなく自分だ。頭と心で自分の価値基準を内省し、それを自分の言葉で獲得することを目指そう。

要約

【必読ポイント!】 絶対悲観主義とはなにか

その概念

「世の中は甘くない」「物事は自分に都合のいいようにはならない」「うまくいくことなんてひとつもない」――。そのような前提のもとに生きていくのが絶対悲観主義だ。

ポイントは、ただの悲観主義ではなく「絶対」がつくところである。仕事の種類や性質、状況にかかわらず、「うまくいかないだろうな」と悲観的に構えておく。

絶対悲観主義を2つの側面から考えてみよう。ひとつが「事前の期待」「事後の結果」、もうひとつが「うまくいく」「うまくいかない」だ。組み合わせると以下の4つのパターンに分類される。

(1)事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいった

(2)事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらうまくいった

(3)事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいかなかった

(4)事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらやっぱりうまくいかなかった

(1)のパターンはもちろんいいが、予想通りで意外性がない。理想は(2)だ。悲観的に構えておくと、予想外にうまくいったときには(1)よりもずっと幸せな気持ちになれる。

その効用
StefaNikolic/gettyimages

絶対悲観主義には6つの効用がある。

第一に、実行が簡単であることだ。期待のツマミを思いきり悲観方向に回しておくだけでいい。そうすれば、もしうまくいったらものすごく嬉しいし、失敗しても心安らかに結果を受け止められる。

第二に、仕事に着手しやすくなることだ。大事な仕事ほど「うまくやらなくては」と構えて、つい後回しにしてしまうのが人間の性である。一方、「どうせうまくいかないだろう」と思っていれば、気楽にとりかかることができる。

第三に、悲観から楽観が生まれることである。絶対悲観主義はリスク耐性が高いため、リスクに対してオープンに構えることができる。

プライドは仕事の邪魔になりかねない。傷つくのが怖くて身動きがとれなくなるし、失敗を避けようと緻密な計画を立てたものの、計画通り進まずに疲弊してしまうからだ。

第四に、リスク耐性だけでなく、失敗した際の耐性も強くなることだ。絶対悲観主義者にとって、失敗は常に想定内である。「どうせ失敗するだろう」という前提だからこそ、失敗しても前に進める。

第五に、相手の立場で物事を考えられるようになること。相手がこちらの都合に合わせてくれたり、気分を忖度してくれたりすることなど絶対にないと思っているからだ。

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要約公開日 2022.09.25
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