「世の中は甘くない」「物事は自分に都合のいいようにはならない」「うまくいくことなんてひとつもない」――。そのような前提のもとに生きていくのが絶対悲観主義だ。
ポイントは、ただの悲観主義ではなく「絶対」がつくところである。仕事の種類や性質、状況にかかわらず、「うまくいかないだろうな」と悲観的に構えておく。
絶対悲観主義を2つの側面から考えてみよう。ひとつが「事前の期待」「事後の結果」、もうひとつが「うまくいく」「うまくいかない」だ。組み合わせると以下の4つのパターンに分類される。
(1)事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいった
(2)事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらうまくいった
(3)事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいかなかった
(4)事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらやっぱりうまくいかなかった
(1)のパターンはもちろんいいが、予想通りで意外性がない。理想は(2)だ。悲観的に構えておくと、予想外にうまくいったときには(1)よりもずっと幸せな気持ちになれる。
絶対悲観主義には6つの効用がある。
第一に、実行が簡単であることだ。期待のツマミを思いきり悲観方向に回しておくだけでいい。そうすれば、もしうまくいったらものすごく嬉しいし、失敗しても心安らかに結果を受け止められる。
第二に、仕事に着手しやすくなることだ。大事な仕事ほど「うまくやらなくては」と構えて、つい後回しにしてしまうのが人間の性である。一方、「どうせうまくいかないだろう」と思っていれば、気楽にとりかかることができる。
第三に、悲観から楽観が生まれることである。絶対悲観主義はリスク耐性が高いため、リスクに対してオープンに構えることができる。
プライドは仕事の邪魔になりかねない。傷つくのが怖くて身動きがとれなくなるし、失敗を避けようと緻密な計画を立てたものの、計画通り進まずに疲弊してしまうからだ。
第四に、リスク耐性だけでなく、失敗した際の耐性も強くなることだ。絶対悲観主義者にとって、失敗は常に想定内である。「どうせ失敗するだろう」という前提だからこそ、失敗しても前に進める。
第五に、相手の立場で物事を考えられるようになること。相手がこちらの都合に合わせてくれたり、気分を忖度してくれたりすることなど絶対にないと思っているからだ。
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