現代は失敗に厳しい時代であるため、失言によってたちまち立場を失う有名人が後を絶たない。一般人であっても、軽い気持ちでSNSにのせた内容が批判され、一生残る「デジタル・タトゥー」になってしまう場合もある。
そんな時代にあって、著者が発案した「失敗学」の必要性は増している。失敗学は「失敗しないための学問」ではない。「創造的(クリエイティブ)に生きるための哲学」である。
どんなに気をつけていても、失敗からは逃れられない。それに「絶対に失敗しないように」とばかり考えて過ごしていたら、成功する機会も成長するチャンスも失い、人生はつまらないものになってしまう。
失敗は避けられないのだから、「絶対に失敗したくない」と恐れないこと。それよりも、失敗を前向きに受け入れ、「なぜ失敗したのか」「この失敗からどんなことが学べるのか」を徹底的に分析・整理して、その後の自分の人生の糧にすることが大切だ。失敗学とは、過去の失敗を分析・整理して糧にすることを学び、取り返しのつかない大失敗の起こる可能性を下げることで、「チャンスだと思ったら果敢にチャレンジできる自分」になるための学問である。
とんでもない大失敗をしてしまった時は、全力で逃げるのが正解だ。もちろん、ひき逃げなど、人としての倫理が問われる場合は例外である。
ここでいう「逃げる」とは、「大失敗をしてしまった自分をつい責めてしまう自分自身の追及から逃げる」ということだ。言い換えれば、衝動的に死を選ばないこと。うつ状態になることを回避するとともに、気力と体力を回復することを最優先にしよう。
失敗によるうつ状態は突然やってくる。その状態から抜け出せるかどうかは、失敗直後の衝撃をいかにうまく受け流して、どれだけ早くもとの精神状態に近いところまで回復できるかが勝負になる。具体的な逃げ方としては「他人のせいにする」「愚痴を言う」「気晴らしをする」の3つがおすすめだ。
大失敗から自分を責め、自滅してしまいそうになったら、まずは失敗を誰かのせいにしよう。自分の頭のなかだけで、一時的に「この失敗は、わたしのせいじゃない!」と考える。
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