腸内細菌、善玉菌、悪玉菌といった言葉を耳にすることは多いものだが、それらの意味を理解している人は少ないだろう。「とにかく腸内の善玉菌を増やせば、便秘が解消して体調がよくなるんでしょ」といったイメージかもしれない。要約ではまず、腸内細菌について紹介しよう。
腸内細菌は微生物だ。もし、あなたの腸から腸内細菌が一切いなくなったら、便秘がちになってお肌の調子が悪化したり、ビタミンが不足してさまざまな不調が起きたり、感染症やうつ、がんになりやすくなったりする。
腸内細菌は腸の中でエサとなる物質を取り込み、代謝産物を出し、分裂してその数を増やしている。何度か分裂を繰り返すと細菌は死に、便の一部となって体外に出ていく。私たちと同じように、細菌も食べては出し、仲間を増やして死んでいくのだ。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられる。善玉菌が増えると、便秘・下痢が解消する、お肌のコンディションがよくなる、肥満を防ぐなどといったうれしい効果がある。
善玉菌は野菜や果物に含まれる水溶性食物繊維などをエサとして食べて、代謝物質「短鎖脂肪酸」を出す。「短鎖脂肪酸」は、腸だけでなく全身によい影響を与えてくれる、自前の万能薬のような物質である。
腸内環境を整えるには、短鎖脂肪酸を作る善玉菌を増やすことが大切だ。必要な量の善玉菌が腸の中にいて、元気にエサを食べ、代謝産物を出してくれていれば、お腹の調子が悪くなったり、太り過ぎたり、重い病気に悩まされたりする可能性は減るだろう。
善玉菌を増やすには、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維を意識的に摂るのが効果的だ。「ヨーグルトを食べているから大丈夫」と思う人もいるかもしれない。だが実は、ヨーグルトや発酵食品に含まれる善玉菌の多くは、大腸に届く前に死んでしまう。
一方、水溶性食物繊維は、きちんと大腸に届き、善玉菌のエサになる。しかも、さまざまな善玉菌たちのエサになるので、腸活として非常に効率がいいのだ。
日本人の腸活からは、ある大事な要素がすっぽり抜け落ちている。それは「ぜん動運動」だ。食に加え、腸のぜん動運動を促すことにフォーカスしなければ、腸内環境は改善しないと言っても過言ではない。
3,400冊以上の要約が楽しめる