日本人の睡眠時間は、OECD(経済開発協力機構)に加盟している37ヵ国中、最下位だといわれている。このデータだけを見ると、「日本人は睡眠時間をもっと長くするべきだ」と考える人もいるだろう。しかし、一方で、OECD内の健康寿命を見ると、日本はトップクラスの長さである。同様に睡眠時間の短い韓国も、健康寿命が長い。一概に睡眠時間が長いほうがよいとはいえないのである。
睡眠時間が短いことによるリスクはよく知られているが、睡眠時間が長すぎてもリスクが高まるというデータがある。睡眠時間と死亡リスクの関係についての研究では、睡眠時間は短すぎても長すぎてもリスクが高まることが示されている。1日平均10時間以上の睡眠を取る人は、7時間の人よりも死亡リスクが高まる。データを見ると睡眠時間が平均7時間の人が最も死亡リスクが低いが、だからといって安易に「睡眠時間は7時間が最もよい」と結論付けることはできない。なぜなら、最適な睡眠時間は人によって異なるからだ。
最適な睡眠時間は、年齢や遺伝子によっても異なる。重要なのは、睡眠の時間よりも、質を高めることだ。本書では、時間ではなく質に注目し、睡眠の質を高めるための方法を紹介する。
3,400冊以上の要約が楽しめる