宗教家・著述家のジョセフ・マーフィーは「世の中にはどんな幸福も不幸もありません。あるのは思いの違いだけです」と言った。この言葉からは、出来事の捉え方を学べる。
あなたは「変わっているね」と言われたら、どう感じるだろうか。他の人と違うことをよしとしない人は嫌な気持ちになるだろう。一方、「変わっている=個性的」と捉えた人は喜ぶはずだ。
心理学では「出来事は無色透明で、あなたを悲しませることも喜ばせることもできない」と考える。同じ出来事を経験しても、捉え方次第で感じ方が変わるのだ。
著者が学んだNLP心理学では、出来事をポジティブに捉え直すために「リフレーム」という手法を使う。たとえば「忙しいのに自分だけ雑用を頼まれる」という出来事があったとする。そのとき、「仕事は平等であるべき」と考えれば、やらされ感でいっぱいになり、嫌な気持ちになるだろう。だが「仕事はできる人のところに集まる」とリフレームすれば、「期待されている」「実力を認められて嬉しい」と思えるはずだ。
出来事の捉え方次第で、私たちの気持ちは変わる。「災い転じて福となす」という言葉がある通り、ピンチに見える出来事も、実は成長のチャンスかもしれない。「このアクシデントが最高の好機になるとしたら?」と考えてみよう。
「仕事で成果を上げたいのに、いつも失敗ばかりしてしまう」「パートナーと良い関係を築きたいのに、最終的に関係を破綻させてしまう」――。努力しているのにうまくいかないのは、意識で願っていることと、無意識で望んでいることが違っているからだ。この状態は、強力なゴムバンドを自分の腰にくくりつけ、反対側を大木に結んで走っているようなものである。いくら努力しても前に進めない。
意識は言葉・思考で、無意識は身体的な感覚、いわば「なんとなく」だ。私たちは強力な無意識に突き動かされている。成功するためには無意識の性質をよく理解し、無意識を制する必要がある。
無意識を制して成功したAさんのエピソードを紹介しよう。Aさんの母親は専業主婦だったが、仕事をはじめ、やがて夫よりも稼ぐようになった。その頃から夫婦喧嘩が絶えなくなり、ついには離婚してしまう。Aさんはこの経験から、無意識に「女性が男性より高い収入を得ると不幸になる」と思い込んでしまった。
大人になったAさんは、バリバリと仕事をこなすものの、しばしば大きなミスをしてチャンスを逃していた。これは「女性がお金を稼ぐと不幸になる」と無意識で考えているからだ。心理学を学び、無意識の誤った思い込みに気づいたAさんは、思い込みを修正して見事チャンスをつかんだ。
無意識を意識しないと、人生は誤った無意識に支配されてしまう。あなたが今抱えている問題が起こったのも、あなたの無意識が何かを恐れているからかもしれない。
NLP心理学には、「地図は領土ではない」「他者の世界地図を尊重することはコミュニケーションの基本条件である」という考え方がある。
「地図は領土ではない」は、私たちが認識しているものと現実は同じではないということ。ある人にとって数学ほど魅力的な学問はないのに、別の人にとっては苦痛で仕方ないかもしれない。それは、出来事(領土)に対する考え方(地図)が違うからだ。
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