大企業に入ればひと安心。勤続年数に応じて給料が上がっていく――。そんな時代は既に過去のものとなった。これからの時代を生き抜くためには、スキルを絶え間なく磨き続けることが必要不可欠だ。
RPG(ロールプレイングゲーム)でたとえるとわかりやすいだろう。ゲーム序盤は、ザコキャラを倒し続けて経験値を稼ぐのが攻略法の定番だ。でも、それでレベルアップできるのはごく初期段階だけ。レベルを上げた後は、仲間を増やしてパーティー(チーム)を作り、冒険の旅に出るものだ。
外部環境と自分の能力、そして将来を見つめつつ、行動を変えてレベルアップし、強いモンスターと戦って活躍のフィールドを広げていく。しかもそれを、オープンワールド化する世界(プレイヤーが自由に移動できる世界)で行う――。こうして自分の行動を少しずつ変えていける人だけが、変化の激しい時代を生き抜けるのだ。
「29歳」は著者にとって、人生の大きな転換点となった。
新卒入社した大手企業では、時には会社で寝泊まりするほどがむしゃらに働いた。ところが29歳のとき、働きすぎから精神疾患を発症する。「このままではまずい」と外資IT企業に転職し、残業ゼロと給与アップを実現した。快適な生活を手にしたのも束の間、会社は9カ月で倒産してしまう。
この経験が、著者の意識と行動を大きく変えた。成果を残して社内外で評価されるように心がけ、一人ではなくチームで難題を解決するだけでなく、学びと睡眠の時間を確保してレベルアップに努めた。その結果、マイクロソフトの役員になり、今では2つの会社を経営している。
今後、ビジネス環境に劇的な変化が起こることは確実だ。変化に柔軟に対応するには、意識と行動を変えていく必要がある。
少子高齢化によって人材不足が進み、Web3の分散型ネットワークで誰とでも繋がれるようになると、有能な人材は引く手あまたになる。そうなると、複数の会社に所属して複数の仕事に従事するマルチキャリア(複業)が当たり前になってくる。
複数の企業で求められる人材になるためには、1つの企業で長年かけて積み重ねた「一点集中スキル」だけでは不十分だ。営業なのに企業会計に強い、開発なのに営業が得意といった複数のスキルを併せ持つことで他者と差別化し、オンリーワンの存在になる必要がある。
RPGでたとえるならば、戦士が魔法使いにジョブチェンジして、魔法が使える剣士になるようなものだ。マルチなスキルを持っていれば、「あの人とパーティーを組みたい」と思ってもらえる。
3,400冊以上の要約が楽しめる