「ジャーニーシフト」とは、時代によって顧客提供価値が変質したことを示す言葉だ。顧客提供価値が、「モノや情報の提供」「瞬間的な道具」から、ありたい成功状態を実現させ、行動を可能にさせる「行動支援」に変わっている。要すればこれがジャーニーシフトである。
言い換えると、「ユーザーにとって何かしらの行動やアクションを可能にしていなければ、企業としてなんの価値もない時代になってきている」ということになる。顧客が自分の中でどれだけ多くのことを受け止め、理解や解釈をしていたとしても、世の中に対して発信や貢献をし、社会やコミュニティに干渉できないと意味がない。
かつて「提供する側」と「受け取る側」に分かれていたものが、今や誰でも発信しアクションすることができる。そのような社会では、「アクションしないこと」が怠慢に映り得る。「本当にそう思っているなら、なぜ行動しないの?」「本当にこのコミュニティが好きなら、なぜ貢献しないの?」と解釈されるケースも生まれてくる。
反対に「本当はもっといろんなかたちで貢献したかったが、その機会がなかった」というケースでは、企業やサービスがそのはけ口を与えてくれるなどして、今までできなかったことが実現可能な場合もあるだろう。
多くの企業は変革を推進するものの、こうした「提供価値のDX」を実現できておらず、新たな時代への対応ができていないのが実情ではなかろうか。
価値を感じるUXやサービスには、「利便性」と「意味性」のレイヤーがある。この2つの混用による落とし穴に気を付けねばならない。
「利便性」とはその名の通り不便を便利にすることである。解決に向かえば誰もが共有して「そのほうがよい」と思えるものが対象だ。
これはマイナスをプラスにすることなので、「改善の方向」が明白である。方向が決まっているため、改善や改良はしやすい。ただ、競争が激化する中で内容も似通いがちだ。
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