パーパスモデルとは、多様なステークホルダーが一緒に活動するための「パーパスを中心とした共創プロジェクトの設計図」である。本書において、パーパスとは「より良い社会を実現するための行動原理」と定義されている。
利益追求のためのプロジェクトとは異なり、共創プロジェクトには多様なステークホルダーが存在する。プロジェクトを引っ張る原動力となるのがパーパスだ。パーパスが言語化され、共有されることで、向かう方向にズレがないか確認できるとともに、新たなステークホルダーを巻き込めるようになる。また、それぞれのステークホルダーの役割と目的を明確にし、受発注の関係を超えた多層的な価値の循環が生まれる。その設計図となるのがパーパスモデルだ。多くのステークホルダーがいる共創プロジェクトの活動を可視化、整理するのに最適なモデルである。
パーパスモデルの図は上段と下段に分けられる。
図の下半分には「主体的な共創パートナー」、つまり共通目的に向かって主体的に動くステークホルダーが置かれる。「主体的な共創パートナー」の条件は、共通目的に賛同していること、リソースを提供していること、主体性があることの3点だ。具体的には、プロジェクトを主体的に進める組織や、同じ課題意識を持って一緒に取り組むパートナー、プロジェクトに貢献してくれるユーザーなどが当てはまる。
図の上半分には「共創に関与するステークホルダー」が置かれる。場の利用者、アプリやサービスのユーザー、顧客企業、対価を払って関与するステークホルダーなどがその例だ。
一番外側のエリアには「ステークホルダーの名称」を入れる。ステークホルダーを「企業」「行政」「市民」「大学・研究機関・専門家」に分類し、4色に塗り分けて、それぞれの位置に配置する。
「ステークホルダーの名称」の内側のエリアには、各ステークホルダーが担っている役割を入れる。具体的には「代金を支払う」「意見を届ける」「企画する」などといったものだ。
さらにその内側には、各ステークホルダーがプロジェクトに関わる動機や合理的な理由を指す「目的」を入れる。「ネットワークを広げたい」「サービスを利用したい」「知識を役立てたい」など、「~したい」の形で統一するのがおすすめだ。
真ん中の円には「共通目的」を入れる。これは、ステークホルダーが共有しているプロジェクトのパーパスを言語化したものだ。
パーパスモデルは6つのステップでつくられる。
第1ステップは「パーパスモデルをつくる目的を決める」。目的を決めるとアウトプットの形式が決まる。1枚のパーパスモデルのみで表現する、時系列に沿って複数のパーパスモデルをつくる、複数のパーパスモデルを比較する形式にするなどといった具合だ。
第2ステップは「ステークホルダーとその役割を洗い出す」。漏れなく書き出すために「そのプロジェクトによって影響を受ける人は誰か」「そのプロジェクトに直接的に/間接的にかかわっている人は誰か」「企業、行政、市民、大学・研究機関・専門家それぞれの属性に当てはまる人はいるか」という観点でチェックしよう。
第3ステップは「共通目的を言葉にする」。「誰が」「何をどのようにして」「どんな状態にする」という3つの要素を入れ、具体性をもたせるのがおすすめだ。
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