「なぜ、今自分はここにいるんだろう?」
ゆったりと時間を取り、自身に尋ねてみてください。小石を川に投げ入れ、小石がゆっくりと深く沈んでいくようなイメージで。まぶたをそっと閉じ、この問いを自分にやさしく尋ねるひとときをもってみてください。
自分を思いやる「セルフ・コンパッション」を体験してもらうため、心のエクササイズを紹介します。自分の家族や友人が苦しんでいたときのことを思い浮かべてください。その人にあなたはどんな言葉をかけていますか。
じっくり思い浮かべてみましょう。言葉や声のトーン、身体の動きを思い出しましょう。
一度目を開け、ふたたび閉じます。今度は、自分自身のことを思い浮かべます。失敗して落ち込んでいたとき、つらかったとき、自分にどのような言葉をかけているでしょうか。
まぶたを開け、思い浮かんだことを、よければ書き留めてください。
このエクササイズで、友だちが苦しんでいるときはやさしく聴いてあげていたのに自分にはできていない、と気づく人が多いと思います。
自分がつらい思いをしているとき、同じ悩みを抱える友人にならばしてあげることを、自分にもする――。セルフ・コンパッションはそんな心のあり方であり、スキルです。
マインドフルネスもコンパッションも仏教とつながりの深い言葉です。マインドフルネスは漢字で「今(いま)心(こころ)」と書き、「念」と訳されます。コンパッションは「悲」と訳され、思いやりや慈悲(悲しみを慈しむ)と訳します。
本書には、あなた自身の身体や心だけでできるシンプルなエクササイズがあります。自分にはどのエクササイズが効果的かを発見し、その過程を楽しみましょう。本書を読み終える頃には、完璧ではなくて欠点があって人間らしい自分自身の行動や思考や感情を、これまでよりも深く理解し、自分について知ることができます。
本書は今まで知らなかった自分の内面をめぐる冒険です。行き先が不確かな旅の道中で感じる心の揺れをありのままに、いろいろな瞬間を自由に探検してください。今まで隠していた感情にも出会うかもしれません。
Practice makes imperfect. (練習を重ねていくことで完璧じゃなくいられる。)練習すればするほど、物事が完璧でないことを許容する器ができてくるでしょう。肩の力を抜いて練習してください。
こう感じれば成功といったものはありません。あなたの体験そのものに、やさしさのこもった興味を向けながら冒険しましょう。
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