オンラインでのコミュニケーションは、人類にとって大きな問題をはらんでいるのではないか。本書は、そんな危機感を抱いた著者が、実態を把握するために繰り返した実験についてまとめたものである。
本書における「オンライン脳」とは、「スマホ・タブレット・パソコンなどのデジタル機器を、オンラインで長時間使いすぎることによって、脳にダメージが蓄積され、脳本来のパフォーマンスを発揮できなくなった状態」を指す。コロナ禍で急速にオンラインが普及した現在、私たちはオンラインの便利さを享受しながらも、脳に悪影響が出ないように生活していかなければならない。本書はオンライン脳の危険性への警告だけではなく、オンラインと脳の賢い付き合い方を紹介する。
「オンライン脳」が生まれることになった大きな原因は、2020年春に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行である。感染拡大を防ぐため、オンラインによるコミュニケーションが急増した。それまでも企業のテレビ会議はあったが、本社の会議室と各支社などをつなぐ場合が多かった。遠方にいるなど事情がある人だけがオンライン参加であったところ、コロナ禍では最初から全員がオンライン参加だ。
非常事態に見舞われて、やむなく人同士の直接接触を避けるようになったここ2年間の“新しい日常”は、人同士のコミュニケーションにおいて、予想以上に深刻なリスクをはらんでいる。本書では、著者ら東北大学がおこなった緊急実験を通じて、この問題を明らかにする。
3,400冊以上の要約が楽しめる