仕事づくり名人に共通するのは、相手に「面白い」と感じさせる仕事をしていることだ。エンターテインメント性には「世界観、キャラクター、ストーリー」の3要素が必要になるが、仕事にこれを当てはめると、「仕事観、インパクト、ストーリー」となる。相手の心をひきつける3つの中味を考えてみてほしい。
仕事づくり名人たちは、「仕事の報酬は次の仕事」と考えている。新規の仕事を得るのは、既存から得ることより5~10倍難しいと言われており、それゆえに、継続的な仕事がどんなにありがたいかがわかっているからだ。継続的に報酬を得られるようにするには、誰よりもいい仕事をして相手の印象に残すという意識が大事である。「いい仕事は最強の営業」なのだ。
顧客が、自分がいったい何がほしいのか分かっていない時代には、顧客に寄り添う人に仕事が集まってくる。「寄り添う人」は、質問や情報提供によって、顧客本人ですら気づいていない真のニーズを明確にしてくれるため、よい距離感を築けるからだ。では、相手に寄り添うにはどうしたらいいか?それは相手に興味・関心をもつことである。興味をもちやすい「相性のいい人」を探すことはもちろん、「気が合う」要素のない相手に対しても、「相手の不安や課題」に焦点を絞って、その部分で役に立とうという姿勢をもてば仕事が生まれていくはずだ。
また、「共感する力」を持ち合わせているかどうかが、仕事の明暗を分けるといってもよい。相手に共感すれば他人事だった課題が自分事になり、それを解決しようと突き動かされるからだ。
共感の本質は「思い」の受信と発信である。例えば一人暮らしの老人がいるとしたら「嵐がくるけど屋根は大丈夫?」と聞けば、「ちょうど雨漏りがしてたところだから頼むよ」と一気に期待が顕在化する。こうした潜在的期待を受信できる感度を研ぎ澄まし、こちらから「声をかける」という発信を行うことが仕事づくりにつながるのである。そこで感謝されることが、「誰かの役に立ち、何か重要なものの一部になりたい」という欲求を満たしてくれ、今後の仕事の原動力になっていく。
さらには、仕事でも、恋愛と同様に「脈」という意識をもってほしい。自分が勝ちやすいパターンを把握することが、仕事の優先度を決めるときに絶大な効果をもつ。著者は年齢が6歳または6の倍数違いの人との仕事が圧倒的に多かったことから、「ひと回り年上の人との相性がいい」という傾向を信じている。なんとなくでも脈を感じたら、10年でも追い続けるべきというのが著者の持論だ。
仕事がつくれるかどうかは、準備と初回訪問のヒアリングで100%決まってしまう。最初から自社のカタログを出して会社や製品説明を始めるのはNGだ。王道はこうだ。
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