物語の舞台は、動物たちが自ら経営をする「ウィンザーファーム」。20年以上トップを担う雄馬のマーカスは、経営の悪化が進むファームの後継者を考えていた。今までと同じ経営を続ければ、ファームは時代の流れに置いていかれるに違いない。創造力と勇気がありファームを新しい方向へと導くリーダーには娘のディアドレが適任だが、話を受けたディアドレは困惑した。ファームの誰もが、現在のナンバー2である雄牛のブルが次のリーダーになると思っているからだ。
父の強い思いから次期リーダーを引き受けることを決意したディアドレは、ブルに協力を依頼した。経験の浅いディアドレにとって組織のカギとなるブルの力を借りることが必要不可欠であり、ブルにはCOO(最高執行責任者)という役職を準備した。
ファームの経営を引き継いで2週間がたった頃、父のマーカスが倒れた。マーカスは自身の病気を知っていて、引き継ぎを急いだに違いない。ディアドレは、二人の息子を寝かしつけながらウィンザーファームの成り立ちを改めて話した。むかし、ウィンザーファームは「ウィンザー」という人間一家が経営していたが、年老いて出ていくことになった。
そこでマーカスの祖父がトップに立ち動物たちが自身で経営する体制に引き継いだところ、ファームはすぐに大きくなり、人間よりも動物たちのほうがファームの経営に向いていることを証明した。ウィンザーファームはたちまち話題となり、動物が経営するファームが次々と増えた。
しかしその後、動物たちの農業技術は次第に上がるものの、人間が経営するファームにおいて作業に機械を導入することにより効率化が一気に進んでいた。そんな中でもマーカスは倹約と効率化を徹底し、動物たちがみなファームのよりよい状態を追求する姿勢を取り入れ、ファームの規模を4倍近く拡大させた。しかし、今までのように効率化の追求だけではファームは時代遅れのものになってしまう。
ディアドレは数週間前に亡くなった父マーカスの言葉を思い返していた。彼女にわかっていることはただひとつ、現況は業績が悪化の一途をたどっており、早く抜本的な手を打たなければならないということだ。
ディアドレは業績を改善するためのアイデアをファームの動物たちから募る「ファームコンテスト」を開催する。動物たちからはユーモア溢れるさまざまなアイデアが飛び出す。全員がプレゼンを終えた後、ディアドレの愛弟子である雌羊のステラが「世界に通用する最高品質のアルパカ毛糸の生産」を提案する。
候補をいくつか絞った後、投資額が最も少なく、限られたファームの資金で実現できる高級ウールビジネス(アルパカ毛糸の生産)の採用を決めた。しかしディアドレをはじめ、ステラ以外の動物たちはみな、アルパカが何かも知らなかった。
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