世界トップ3の経営思想家による はじめる戦略

ビジネスで「新しいこと」をするために知っておくべきことのすべて
未読
世界トップ3の経営思想家による はじめる戦略
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ビジネスで「新しいこと」をするために知っておくべきことのすべて
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世界トップ3の経営思想家による はじめる戦略
出版社
大和書房
出版日
2014年07月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

寓話は学びを何倍も早めることをご存知だろうか。本書は動物たちが自ら経営するファームでの物語を通じて、新規ビジネス展開において抑えておくべき基本的な原則がまとめられている。ユニークな動物たちが経営の悪化するファームで新規ビジネスを始めるために、試行錯誤しながら次々と降り注ぐ難題を解決する。

本書の内容は著者の10年以上のリサーチに基づいている。優れた経営者が複雑な手法で新規ビジネスを展開するわけではなく、経営を引き継いだばかりの若い雌馬が周りの協力を得ながらファームを改善していく。組織の成功を維持するためには、常に新しいことに挑戦し続けなければならない。新しいビジネスを始める際には、どのような仮説をたてるべきか、起こりうる事態とは何か、責任者やチームはどうあるべきかなど、本書からたくさんのヒントを得られるだろう。動物たちの生き生きとした会話が読者の理解を深め、自然と読むスピードは速まる。また、章ごとに振り返りのポイントが質問形式で掲載されており、要点を理解しやすい。

動物たちの豊かなキャラクターが物語にユーモアを生み、実際に新規ビジネスを始めようとしている経営者以外の方でも、小説を読みながらビジネス展開の基礎を学べる一冊となっている。「ファームを救ったのは誰か?」本書を通じて、皆さんの答えを見つけていただきたい。

著者

ビジャイ・ゴビンダラジャン
ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネス国際経営学教授。戦略とイノベーションの世界的権威。ゼネラル・エレクトリック(GE)で主任イノベーション・コンサルタントを務めていた2009年に、ジェフ・イメルトCEOおよびクリス・トリンブルとともに「GE リバース・イノベーション戦略」を発表。この戦略は「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌によって「この10年間における10のビッグ・アイデアの1つ」と評価され、トリンブルとの共著『イノベーションを実行する』(NTT出版)や『リバース・イノベーション』(ダイヤモンド社)は世界的なベストセラーとなった。最も影響力のある経営思想家を隔年で選出する「Thinkers 50」(経営思想家トップ50)において、2005年以降5期連続でトップ50入り、2011年以降2期連続でトップ5入りを果たす。

クリス・トリンブル
ヴァージニア大学を卒業後、ダートマス大学タックス・スクール・オブ・ビジネスでMBAを取得。GEやマイクロソフトなど数々の世界的企業でコンサルティングを行った経験があり、現在はダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスで教鞭をとる。ゴビンダラジャンとともに、優れた論文や著書を数多く世に送り出している。

本書の要点

  • 要点
    1
    組織の成功を維持するためには、常に新しいことに挑戦し続けるべきである。新規ビジネスに注力させるために専任チームをつくり、既存のチームとの調和を図る。
  • 要点
    2
    新規ビジネスは必ずしも成功が約束されているとは限らない「実験」である。実験を行うにあたっては仮説を立て、その検証を重視して進めていく。学びが第一でありコストは二の次。そのため、必ず仮説と結果を比較する。
  • 要点
    3
    ビジネスを始めるにあたり、さまざまな問題や内部での衝突が発生することが想定される。経営者は新規ビジネスの成功への見通しを明確にメンバーへ伝え、士気を高めるべきである。

要約

経営の悪化するファームの救世主は誰か

新しいタイプのリーダーをトップにおく

物語の舞台は、動物たちが自ら経営をする「ウィンザーファーム」。20年以上トップを担う雄馬のマーカスは、経営の悪化が進むファームの後継者を考えていた。今までと同じ経営を続ければ、ファームは時代の流れに置いていかれるに違いない。創造力と勇気がありファームを新しい方向へと導くリーダーには娘のディアドレが適任だが、話を受けたディアドレは困惑した。ファームの誰もが、現在のナンバー2である雄牛のブルが次のリーダーになると思っているからだ。

父の強い思いから次期リーダーを引き受けることを決意したディアドレは、ブルに協力を依頼した。経験の浅いディアドレにとって組織のカギとなるブルの力を借りることが必要不可欠であり、ブルにはCOO(最高執行責任者)という役職を準備した。

新しい戦略をはじめる

ivan604/iStock/Thinkstock
「時代の変化」に対応する

ファームの経営を引き継いで2週間がたった頃、父のマーカスが倒れた。マーカスは自身の病気を知っていて、引き継ぎを急いだに違いない。ディアドレは、二人の息子を寝かしつけながらウィンザーファームの成り立ちを改めて話した。むかし、ウィンザーファームは「ウィンザー」という人間一家が経営していたが、年老いて出ていくことになった。

そこでマーカスの祖父がトップに立ち動物たちが自身で経営する体制に引き継いだところ、ファームはすぐに大きくなり、人間よりも動物たちのほうがファームの経営に向いていることを証明した。ウィンザーファームはたちまち話題となり、動物が経営するファームが次々と増えた。

しかしその後、動物たちの農業技術は次第に上がるものの、人間が経営するファームにおいて作業に機械を導入することにより効率化が一気に進んでいた。そんな中でもマーカスは倹約と効率化を徹底し、動物たちがみなファームのよりよい状態を追求する姿勢を取り入れ、ファームの規模を4倍近く拡大させた。しかし、今までのように効率化の追求だけではファームは時代遅れのものになってしまう。

ディアドレは数週間前に亡くなった父マーカスの言葉を思い返していた。彼女にわかっていることはただひとつ、現況は業績が悪化の一途をたどっており、早く抜本的な手を打たなければならないということだ。

アイデアは全員から募る

ディアドレは業績を改善するためのアイデアをファームの動物たちから募る「ファームコンテスト」を開催する。動物たちからはユーモア溢れるさまざまなアイデアが飛び出す。全員がプレゼンを終えた後、ディアドレの愛弟子である雌羊のステラが「世界に通用する最高品質のアルパカ毛糸の生産」を提案する。

候補をいくつか絞った後、投資額が最も少なく、限られたファームの資金で実現できる高級ウールビジネス(アルパカ毛糸の生産)の採用を決めた。しかしディアドレをはじめ、ステラ以外の動物たちはみな、アルパカが何かも知らなかった。

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要約公開日 2014.11.21
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