現代の経営トップに必要なものは、「グローバル」「ファイナンス」「ICT」の3つのスキルである。トップになるまでに、これらの能力を磨いていかなくてはいけないだろう。過去はアメリカ市場一本でグローバル戦略の多くを語れた。最近の10年は中国の時代だったと言えよう。
それでは10年後、20年後を見据えて、これから注目すべき市場はどこかというと、アジアではインドネシア、フィリピン、バングラデシュなどになってくる。人口規模で、7000万人~2億人程度の市場を見据えておく必要がある。
そのため、社長になる準備をするに当たっては、その国の人の考え方を理解するために、友人を5人~10人ほど作り、電話一本でわからない事をすぐ聞けるようになることが望ましい。このようなヒューマンネットワークを確立していくことが重要だ。
グローバル市場を開拓するにあたって、ヨーロッパ本部やアジア本部という地域本部を設立する会社はうまくいかないことが多い。大くくりで考えるのではなく、インドネシア、フィリピンなどといった個々の国を選んで攻めていくことが求められるのである。つまり、一国一国を担う人材を選出し、とことんその市場に拘った方が良いのだ。
無謀であったり、分別のない果敢な経営者が戦後の日本を引っ張ってきたが、最近は独裁者型の意思決定をできるトップが減ったことは問題だろう。グローバルな皮膚感覚を身につけて、リスクを取って新しいものを生み出していくような挑戦が、これからのトップに求められる重要な要素である。
成熟したマーケットで起こる現象として、マージンが著しく低下する傾向がある。厳しい環境下において、収益志向型の運営を行い効率化のみに注力していると、中長期で見たときの営業利益は低迷しがちだ。一方で、成長志向型で運営した場合は、当初は人を含めた固定費投資に苦しみ収益性が一時的に悪化しても、中長期では営業利益を改善していくことが多い。成熟社会においては、成長志向が収益維持のために不可欠という、過去想定し得なかった事態が起こるのである。
伸び悩んでいるマーケットの中で、限られたパイの取り合いをする際には、相手企業に対してどのように競争優位を確立するべきだろうか。企業戦略の大前提にあるように、価格競争力で徹底して勝つことが一つの方向であろう。
しかしそれが難しい場合には、正面から真っ向勝負を挑むのではなく、
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