自社の提案営業の「勝率」がどれ程なのか、案外知らない人が多い。正確な数字を把握せずに営業勝率を管理することは不可能だ。漠然とした状態で提案営業を続けている要因は、従来の提案営業スタイルの踏襲にある。日本企業が行ってきた「優秀な営業」とは営業成績が優れた個人を指す場合が多く、企業は優秀な営業マンの囲い込み競争を行ってきた。それでも勝率が2割程度から脱却出来ない理由は、多くの案件が複雑化・高度化している点にある。こういった状況を個人の努力や熱意だけで打破していくのは困難である。ここで必要なのが情報収集力だ。営業勝率を上げるための手法、それが「勝率88%のシップレイメソッド」なのだ。
かつての日本式営業方法、つまり個人戦での戦いにはチームとしての戦略性が欠けている。それは勝つためのアプローチや行動をチームで共有するメリットがないからだ。チーム戦の提案営業という点で日本は他国に比べ大きく遅れている。勝つためのノウハウをチームで共有し評価される仕組み作りが必須であり、「誰がやっても何度やっても同じ品質でビジネスができる」、そういった営業プロセスを構築することが大切だ。過去から続く社内文化を大きく転換すべく新システムを導入し行動とスキルを変化させていく。チーム営業のメソッド、「キャプチャー営業」を導入することで提案営業の勝率は劇的に変化する。40年以上の実績を持つメソッドを用いて勝率アップにつなげていただきたい。
自社が参加する入札やコンペでの提案営業について、改めてセルフチェックしてみよう。本書に掲載されている10項目のチェック表の多くが当てはまった会社は要注意だ。現状の営業スタイルを継続すれば勝率は増えない。
「シップレイメソッド」で掲げる、チームによる体系的な営業戦略で確実に勝率をあげるためには、現状をどう改善していくべきか。例えば、多くの企業が採用している営業プロセスは「顧客から提案書(業界によっては入札通知やITB(Information To Bid)とも呼ばれる)の依頼があった後に提案書を作成する」というものだろう。これを本メソッドに置き換えると、顧客の要求よりずっと前に提案計画に取り掛かっていなければならない。また、「顧客組織の最終決定者を押さえる」といった行為は個人営業ならではの営業スタイルであり、今や法令順守などの観点から公平性・透明性の担保が求められ、顧客企業も委員会で決定するなど個人の決定では動かない。個人一人を押さえるより顧客企業の組織的観点や最重要関心事を理解した上で提案していく姿勢が大切となる。
日本企業の多くが抱える営業の問題点は、案件選別の意識の低さ、人材不足、間違った想定によるロス、などだ。これらの課題はプロセス改善により解決可能だ。重要なのは、勝つための営業プロセスの要素を理解しているかということ。「シップレイメソッド」による営業戦略には、40年の実績から導かれたもっとも効果的なプロセスの順番がある。全部で18あるステップの中で特に重要なポイントの2点を紹介したい。
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