このムダな努力をやめなさい

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このムダな努力をやめなさい
著者
出版社
出版日
2014年10月10日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

努力の苦手な方々に、朗報だ。本書には効率のよい努力の仕方と、人生を楽しく生きる術が書いてある。一方で、努力家の方々も、本書をお見逃しなく。あなたのその努力は、実はムダに人生を浪費していただけなのかもしれない。このあたりで一度よくよく自分を見直し、もっと実りある努力の仕方を身につけていこうではないか。

「報われない努力もある」というのが著者の主張するところである。全ての努力がムダだということでは決してない。しかし、世の中にはムダな努力というものがあるのだ。

だからこそ、努力には「時間」「労力」「お金」が必要であることを認識し、それが自分に本当に必要なものなのかを見極める必要がある。また、苦手なことにいくら労力や時間を費やしても、さほど得意にはならないことも知っておくべきだ。本書には、どのような努力を避けるべきか、そしてどのような努力を選ぶべきか、そのためにとるべき行動の秘訣が記されている。

人生は楽しんだ者勝ちだ。そのためには、ムダな努力をしている時間はない。自分の好きなことや得意なことに全力を注いで本領を発揮することが、成功への最短ルートである。苦手なことに立ち向かうより、他人には真似できない自分の強みを一つ持つだけで、可能性は大きく広がるのである。一度きりの人生をより楽しく豊かに過ごすために、そして賢く生きるために、本書からは多くのヒントを得られるだろう。

著者

成毛 眞
1955年、北海道生まれ。中央大学卒業後、株式会社アスキーなどを経て、86年、マイクロソフト株式会社に入社。91年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在、同社取締役ファウンダー。ビジネス界きっての読書家として知られ、書評サイト「HONZ」の代表や、また、早稲田大学ビジネススクール客員教授も務める。
主な著作にベストセラー『本は10冊同時に読め!』(三笠書房)の他、『面白い本』『もっと面白い本』『ノンフィクションはこれを読め!』『大人げない大人になれ!』など多数がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    今は努力が必ず報われる時代ではない。ムダな努力をしていたずらに時間を使うより、好きなことに時間を使い、人生を楽しもう。
  • 要点
    2
    有能な人間は柔軟性を持ち、臨機応変に物事を進め、世の中の価値観に振り回されない。また、人間関係にも無用な執着を持たない。
  • 要点
    3
    目先の仕事でスケジュールを全て埋めてしまうと、その先にある大切なものを見失う。「会社に必要とされる人」になるための努力はやめ、「世の中に必要とされる人」を目指すべきである。

要約

「努力家」が知っておくべきこと

世の中は「ムダな努力」であふれている

昔からよく言われる精神論で「努力が必ず報われる」というのは、戦後日本が復興に向かっていた時期や高度経済成長期には真実だったのかもしれない。しかし、これ以上豊かになれないほど豊かになってしまった現代の日本で、大人が子供に以前のとおりに夢や希望を持つように言うのは間違いである。世の中のルールは以前とは違ってしまっているのだ。「現実」を理解させ、その中でいかに生きていくかを教えるべきである。

根性が成功を遠ざける
Orlando florin Rosu/Hemera/Thinkstock

今の時代、「根性」でやることの大半は無意味である。ダイエットすら、厳しい運動や食事制限なしにできる。スポーツも科学的に研究され、負担なく筋肉を増やせるようなトレーニングができるようになっている。

著者自身はアーリーリタイアを目指して若いときはがむしゃらに働いたという。が、残念ながら日本企業は年功序列で給料が決まるため、若いときいくら働いてもありあまるほどの給料をもらえるわけではないという仕組みに気づき、アーリーリタイアの夢は消えた。日本企業で働くなら、細く長く働けるように、エネルギーを温存しておくのが賢いといえる。

とはいえ、20代は必死に働いたほうが仕事はできるようになるので、結果として出世コースに乗って将来につながるかもしれない。ただし、30代や40代になってからは、奮起するよりも組織の中で長く生き残る道を考えたほうがよい。

最小限の努力で成功できる近道を知り、いかに賢く自分らしく、面白く生きるかを考えるのが頭のいい生き方である。

ただの「いい人」は消耗品に終わる

戦後の日本は民主主義教育の影響もあり「いい人」が好まれるようになった。万人受けする人がメディアでもてはやされ、おひとよしの善人ばかり登場する作品が流行する。外交においても、日本は他国の顔色をうかがうようなやり方をし、技術や人材を盗まれても強い態度に出ることができていないように見える。

しかし、今の時代は「いい人」には何のメリットもない。いい人とは無能の代名詞であり、クビを切っても抵抗をせず文句も言えないためリストラの対象になりやすく、消耗しつくされてしまう。

「好きなこと」があなたの生きる武器になる
Julia_Sudnitskaya/iStock/Thinkstock

人生には攻める期間と守る期間があるが、日本の現況は守る期間、つまり我慢の時期である。

来たるべき時がくるまでエネルギーは温存しておき、自分の好きなことをしているのがよい。やりたくもないことをやっても能力は身につかない。好きなことを追求した方が人生を楽しむことができ、しかも自分の能力を伸ばすことができる。なんでもいいので、興味があることに関連したことを始めてみることだ。たとえば能に関心があったら、観に行くのでもいいし、教室に通って習ってもいいし、能面を作ったっていいのだ。

そうしたことが、将来武器になり、自分の身を助けるかもしれない。

【必読ポイント!】「ムダな努力」と縁を切る

ものごとに執着しない
ATIC12/iStock/Thinkstock

継続することは大事だが、こだわりは時に「執着」となる。たとえば、幸せになるためにはお金が必要だと考え、自己啓発セミナーに通い、ネットワークビジネスにはまり込んで他人を勧誘するようになってしまう……というようなことは「執着」だ。

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要約公開日 2015.01.27
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